アジア不動産投資ツアーに参加して-3

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、前回「アジア不動産投資ツアーに参加して-2」に続き、「アジア不動産投資ツアーに参加して-3」と題してお送りします。

経営者は東南アジアに関心を持つべし

前々回のコラム記事であるこのシリーズの第1回で、まずは、「中小企業(零細含む)経営者のすべてが、東南アジアに関心を持つべきだ」と述べました。

これは間違っても、すぐにでも「タイに会社を作りましょう」とか、「マレーシアでMM2H(長期滞在ビザ)やフィリピンでSRRV(永住ビザ)をとって永住しましょう」とかでは全くありません。
海外に出るようになって改めて思うのは、日本居住者であることの素晴らしさ、更にいえば、日本人が一番快適な暮らしを適度な値段で実行するには、東京が世界一であるということの強い再認識です。
それは、食べ物を含む生活全般、安全面、政府への信頼、便利さ、それらに対するコスト、文章で表現しにくい目に見える見えない多くの事象などに起因します。

では、なぜ零細企業を含むすべての中小企業が東南アジアに関心をもつべきなのでしょうか。

それは、東南アジア人が、今後益々、「顧客」として、「取引先」として、「従業員」として、「子供の結婚相手」として、登場してくる可能性が高いからです。
それは、単に海外に出て世界情勢を肌で感じても実感しますし、政府の政策をかえりみても実感します。

またそこには、「タイやミャンマー等を中心とした日本とはだいぶ異なる上座部仏教」や「インドネシアやマレーシアを中心とした日本に馴染みの薄いイスラム教」といた違いがあります。

これら宗教や生活面、民族的性格等は、事前知識がとてもとても重要です。

また、東南アジアやイスラム人というのは今後益々人口が増えていきますので、将来的にその重要性が増すことが確実です。

今の子供たちが大人になる時には、間違いなく、東南アジアの時代、イスラムが今以上に重要視される時代になっていますので、子供の教育においても、東南アジアに関心を持つことは重要です。
(よく日本人はイスラム教というのを誤解しますが、東南アジアにいる99%のイスラム教の人たちは、日本人以上に真面目です。多くの方がお酒すら飲みませんし、ハメを外したどんちゃん騒ぎもされません、日本人以上に奥ゆかしく良い意味での恥ずかしがり屋です。)

フィリピンのマニラやセブでは、1週間程の親子英語留学がありますので、語学勉強も兼ねて、まずはそのあたりからトライしてみてもいいかもしれませんね。

Ps.補足ですが、当然のことですが海外子会社をつくるや海外移住するとかを、希望されて実行する方は素晴らしいことですので全力で応援します、誤解の無いように。

海外投資のポイントは?

前回のコラム記事であるこのシリーズの第2回では、日本では馴染みの薄いプレビルド方式のコンドミニアムやコンドテルといった海外不動産について、いくつか写真入りで解説しました。
そして、「海外不動産投資は是か非か」について、結論留保でしたが、実際過去に東南アジア不動産投資された方が今どうなっているのかをご紹介しました。

そこで今回は、私なりに東南アジアを中心とした海外投資(不動産に限っていない部分もありますので、海外投資としました)のポイントをまとめてみます。いつも通り、独断と偏見ですので悪しからず。

大前提としては、海外移住等の特殊なケースではなく、日本人が日本に居ながらにして海外不動産などに投資するという、至ってノーマルなケースを想定して記します。

【1.ある程度の利益が見込めるか?】
逆にいうと、小さな利益しか見込めないものは、海外投資には向かないのではないかと思います。というのも、とにかく、日本とは細部において商習慣等違いがいくつもあり、そのこともあってか東南アジアではちょっとしたトラブルは日常茶飯事です。そのトラブルを優に吸収できるくらいの利益見込みは欲しいところ。


【2.円高時がチャンス】
円が強い時に海外投資を行えば、割安になります。現在の円が更に円安にふれると想定すれば、未来の円に対して現在は円高となりますからチャンスであるともいえますが、その逆になれば、結果もその逆です。
多くの海外投資を斡旋する会社は、日本が危ないということを口にされますが、その背景には円安になるだろう、だから今海外不動産投資しましょうという構図があります。

為替の複雑な部分はよくわかりませんが、個人的には、少なくとも日本が崩壊する等ということは思いません。今の為替が適正かどうかや、今より今後円安になるかどうかなどは不明ですが。


【3.分散投資は本当に必要ですか】
「円以外の通貨を」、「現物資産をもつ、しかも国を変えてもつ」等といわれますが、本当でしょうか。私は純資産(資産-負債)が1億円以下では分散投資等不要ではないかと思います。それこそベトナムにいるならベトナムドンだけの預金では色々な面から不安を感じますが、1億円以下の資産でここ日本で不安を感じる必要はないのではないでしょうか(1億円超の方はこのメール通信でも多く登録されていますが、そういった方は希望されるのであれば個別にコンサルを行いますので末尾記載の連絡先まで連絡ください)。

マレーシア等の東南アジアの人たちに、日本人の過度な自国不安の話をすると、いつもとても不思議がられます。

私たち(東南アジアの人々)が政治や経済などで自国に不安を感じて、日本にあこがれているのに、その当の本人の日本人が国外逃亡ですか、理解できません、と。
まだまだ発展途上である東南アジアからこの日本人の過度な自国不安を概観すると、とても不思議な感じに思えることもあります。

余談ですが、日本不安の1つとして地震についていわれることがありますが、東南アジアの台風や大雨による水害というのも本当に恐ろしいものがありますし、地震以上に確率が高いようにも思います。


【4.余裕資金で行う】
私が見る限りは、特に海外不動産投資において、かつてのサラリーマン不動産投資のようなノリのケースが散見されます。つまり、カツカツの資金で一発逆転も狙いつつ行う投資形態です。
東南アジアにおける海外投資は、前述したように、ちょっとしたトラブルは、風習や商習慣の違いから日常茶飯事です。

例えば、マレーシアにおける日本人には理解しがたいブミプトラ政策というのがあります。
ブミプトラ政策とは、、マレーシアの経済政策で「マレー系住民を経済的に優遇する国策」のことです。

「ブミプトラ」とは「土地の子」という意味でマレー系住民を指しますが、マレー系住民は中国系に比べて経済的に劣っていてかわいそうなので、例えば住宅購入資金を補助する等の経済政策を実施していこうというものです。

日本でも、特定の世代等をターゲットに補助金を出していくということはありますが、「マレー系65%」「中国系26%」「インド系8%」という割合などを考えた時に、日本では有り得ない政策ではないかと思います。

逆に、こんなことが有りなら、東南アジアに出て行っている日本人にとっては、何が起こっても仕方がない、ということにもなります。(ブミプトラ政策が良いとか悪いとかの議論ではありませんので悪しからず)

ということで、海外特に東南アジアでは日本の常識が通用しないことが多々ありますので、その意味でも、海外投資は余裕資金で行いましょう。


【5.好きな国を選択する】

投資の損得イロハからすると、逆行する話なのかもしれませんが、好きな国に投資する、というのは必要な事ではないかと思います。
その時まだ好きでなくても、いずれ好きになれるような国を選択するべきと言いかえてもいいと思います。

ということは、好きでないのであれば、いくら短期的には儲かりそうでも、止めておいた方がいいのかもしれません。

好きな国に投資をするというのは、その国に住む人が好きで、そこに資産を投資して、その国の人たちと喜びや幸せを分かち合い、その結果、利益も分かち合うという事です。
投資する国に住んでいる人が嫌いなら、投資してはいけないのではないかと思います。

海外投資といっても特殊な事と考えずに、日本でビジネスをするのと同じで、そこで働く従業員や顧客(不動産投資であれば入居者)、外注さんに好意をもてるかどうかはとても重要な事です。
海外投資をするのかどうかの究極は、その国や人種が好きか嫌いかで決めてもいいのではないかとさえ思います。

過去の日本人の努力によって、一時はエコノミックアニマルと揶揄されながらも、現在ではおおむねどの国に行っても是非日本人による投資をしてもらいたいとなぜ言ってもらえるようになったのかを、これから海外に打って出よう(海外不動産投資でも同様)としているこれからの人たちは、よくよく考えておくべきです。

海外に出た瞬間、貴方はそこで出会う現地の人にとって、日本代表なのです。希望するかしないにかかわらず、相手はそう感じてしまうのです。
サッカー日本代表にはなれなくても、海外に行けば、特に未開の地に行けば現地の方が日本人と出会う頻度が少ないですからなおさらとなりますが、すぐに日本代表になれます。

ここで言いたいのは、海外旅行に行く人以上に、海外に出て投資を行おうとする人はノブレスオブリージュの精神で、自分が日本代表なんだという気概をしっかりと持っておいてほしい、ということです。

決して、過去の日本人が築いてきた信頼や誠実さや正直さを汚してはいけませんし、もっと前向きにいえば、そのバトンをより良い形に変えて、次の世代に渡していきましょう、ね。

短期的な利益獲得だけを目当てにし、現地の人をモノとして扱い、昇進昇格の機会を与えず、技術やノウハウの伝承をしないような海外投資は、日本人は行ってはいけません。(もちろん、そもそもの給料などの待遇面の差を急に日本人と同じにする必要はありませんが。)

逆に、長期的視点に立ち、日本人従業員と同じく大切な家族として現地従業員を雇用することが大切です。

このことは、インドネシアで50年以上続く現地のパナソニック子会社を見学させてもらった時に、まさにこれがお手本だなと思った次第です。
この会社は、日本以上の終身雇用でもあり、多くのOB会が出来ています。


【6.現地を見に行く】
不動産投資でも、企業による店舗投資、工場投資でも、海外となると日本とは環境が全く異なりますので、是非、現地視察されたほうがいいと思います。
中には、どうぜ言葉も風習もわからないのだし、何より費用も結構かかるから無駄では?といわれることがあります。

私が海外投資の前に是非現地を見に行きましょうと言っているのは、どちらかというとミクロの話ではなくて、マクロの話です。
多分、現地に行くと驚くことが多いのではないかと思います。

いくら東南アジア慣れしている方でも、いざ自分が投資しようとしている場合には、ディテイルを見ることになりますから、今まで全く気付かなかった多くの気付きが産まれるはずです。

そして何より、近くに泊まってみて、食事をしてみて、朝晩の違いや平日と土日の違いを実感してみて、また、通訳を介してでも、片言でも良いですから現地の方と会話もしてみてください。

その国を好きになれそうですか?
現地の人を好きになれそうですか?

これを感じてほしいがために、現地を見に行ってほしいのです。


【7.日本居住で儲けられるビジネスを考える】
もしかしたら先ほど書いたことと矛盾する部分もあるかもしれませんが、海外投資で是非ともというのが、コレです。
海外移住してもいいというような特殊なケースは別として、一般的な日本人であれば、うまく仕組みや商材などを考えて、一時的に1~2年等は仕方がないとしても、安定すると、自分が日本居住(イメージとしては、月1回海外出張)で儲けられるビジネスを考えるべきではないかと思います。

任せられる現地の人を確保するのか、自ら行きたいという若者を集めるのか、そもそも仕組みや商材で工夫するのか、インターネットの活用も重要でしょう、様々に思案のしどころです。

今回でこのシリーズは終わりにするつもりでしたが、まだまだお伝えしないといけないことがありますので、続きは次回とします。

次回は、「アジア不動産投資ツアーに参加して-4」と題して、「海外不動産投資の税金」の話や、逆に「日本不動産を東南アジア人が購入されている」といった話をする予定ですが、紙面の都合がつけば、「マレーシアリンギットという通貨」の話も。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№404


Copyright all rights reserved By マネーコンシェルジュ税理士法人

その他の最新税務関連ニュース

大阪税理士コラムのカテゴリー一覧

税務情報を「メール通信」「FAX通信」「冊子」でお届け。

中小企業の経営者及び総務経理担当者・相続関係者向けに、「知って得する」「知らないと損する」税務情報を、メルマガ、FAX、冊子の3種類の媒体でお届け。
配信日時などの詳細は下記をクリックしてご確認下さい。
会計事務所の方はご遠慮頂いております。

  • メール通信 ご登録&ご案内
  • FAX通信 ご登録&ご案内
  • 冊子媒体 ご登録&ご案内

今なら初回面談無料!
お気軽にお問い合せください。

0120-516-264受付時間 9:00~17:30(土日祝休)

メールでのお問い合せ

ページトップ