海外展開支援研修からのシェア-4

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、「海外展開支援研修からのシェア-4」と題して、「海外展開支援研修からのシェア-1」「海外展開支援研修からのシェア-2」「海外展開支援研修からのシェア-3」のシリーズの最終回をお届けします。

海外展開支援研修シリーズの振り返り

第1回では「中小企業の東南アジア進出の留意点」として、給与規定の整備の必要性や通訳さんの権限を分散させることの重要性などをお伝えしました。
第2回では、中小企業が海外進出を検討する時に活用できそうな「JETROによる具体的サービス内容」をお伝えしました。
前回である第3回では、海外展開支援の中で人材にまつわるものとして「現地外国人労働者関係」と「日本人駐在員関係」をお伝えしました。

このシリーズの最終回では、この海外展開支援研修の最終日に弁護士さんによるセミナーがあり、そこで私がメモした項目をいくつか皆さんとシェアしたいと思います。

海外進出では「冒認登録」に注意!

冒認登録とは、日本企業の商標やドメイン、著作権、デザイン(意匠)、ノウハウ、商号等を冒用して登録することです。

※冒用(ボウヨウ)=無断不正使用

例えば、ロゴマーク等の商標権等は国ごとに登録が必要となりますが、どこの国でも登録費用はそれほど高くありません。
海外進出を検討し始め、海外現地視察などを行い、色々と名刺交換をすると、その後、日本に帰ってからどこからか不思議なメールが届くことがあります。

内容は、「その海外進出予定の商標が既にその海外進出予定の国で他社によって取得されていて、和解金を払う等対策が必要だ」というようなもので、海外の調査会社が出所であったりします。
つまり、これから海外進出を検討している会社からお金を引き出すために、それほど費用の高くない商標登録を行うという、とんでもない輩のような会社が存在するのです。

海外進出を真剣に検討されている会社は、現地視察をしながらも、脇はしっかりと引き締めておくようにしましょう。

冒認登録されたらどうするか?

とはいえ、冒認登録されたらどうしたらいいのでしょうか。
「その権利を買い取る」というのが、一番わかりやすい解決策ではないでしょうか。

但し買い取るにもテクニックがあります。

例えば、いきなり日本企業が出て行って「買い取ります」なんていうと、日本より所得の比較的低いアジア等では高値買いになる可能性が高いです。
そこでまずは現地企業を新たにつくって、現地企業同士で交渉する方が、一般的にはいいでしょう(バックに日系企業がいるのではと勘繰られても現地企業同士で交渉したほうが得な場合が多いそうです)。

しかし、海外で冒認登録された場合の一番のお勧めは、「あきらめる」です。

例えば、世界的に有名なコーヒーショップである「スターバックス」でも、中国では、星巴克(シン・バ・カー)で、それでちゃんと店舗展開出来ているようです。

もちろんこれは権利を侵害されたからではなく、戦略としてそうされているのだと思いますが、ひるがえって中小企業のブランドを考えると、「それほどこだわる必要はないでのではないか」とも思います。

それより大事なのは、日本でうまくいった成功体験は横に置いておいて、いかに現地風にアレンジやチェンジを出来るかだと思います。

研修で学んだこと箇条書き

1.新興国では自国の産業を守るために、外国企業の呼び込み順序として、「製造業→商業関係→資格関係ビジネス」

2.新興国では自国の産業を守るために、「中古品規制」や「現物出資規制」をされているケースが多い

3.新興国では外貨の海外流出を防止するために外貨制限を行っていることが多い

4.代金回収保全措置として、「前払い」や「相殺」、「保証」等を行う場合、それがその国の外貨制限に引っかからないか事前に調べておいたほうがいい

5.技術ライセンス契約の場合、グラントバック条項を入れておく(グラントバックとは、技術供与を行う場合に、技術供与を受けた側が、技術改良で得た特許等について技術供与を与えた側に譲渡させる事)

6.技術ライセンス規制のある中国では、5%超のロイヤルティとなると審査がだいぶ厳しくなる

7.合弁会社を作る場合、「資金不足時の対処法(出資や貸付け、倒産等)」をきちんと事前に決めておくことが重要

8.タイには合弁企業が多いが、現地資本が50%以上入ると外資規制がなくなるからではないか

9.ベトナムでは、51%以上株式をもっていてもダメで65%以上必要

10.インドネシアでは契約は必ず「インドネシア語」が必要

11.日本の裁判所による判決を認める国と認めない国がある(中国と日本ではお互いにそれぞれの国の判決を認めていない)

12.中国やミャンマー等も加盟しているニューヨーク条約による仲裁は有効

13.中国では、投注差(総投資金額ー資本金)しか、外国からお金を借りられないので注意

14.外国では、日本より債権の消滅時効が短いケースがあるので、債権回収問題が発生したらまずは時効期間の確認を行う


この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№417


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