海外展開支援研修からのシェア-1

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


政府の海外戦略の歴史

海外関係で「インバウンド」といえば、外国人旅行者を日本へ誘致することを指します。
逆に、海外関係で「アウトバウンド」とは、日本人の海外進出(海外旅行)を指します。

日本政府の海外がらみの戦略を歴史的に振り返ると、まずは、1986年の「テンミリオン」政策があります。
これは、5年間で日本人海外旅行者数を1,000万人にすることを目指したもので、別名、「海外旅行倍増計画」です。

まさに、アウトバウンド戦略ではあるのですが、海外旅行者数を増やすという視点なので、企業による海外進出などとは異なります。

テンミリオン政策の背景には、日本人の国際化と貿易黒字を是正するためということがありましたが、実際には予定より早い1990年に目標達成と相成りました。

一方、2000年代に入って、政府は、日本経済が低迷したことから外貨獲得手段として、外国人旅行者を日本に誘致するインバウンド戦略に方針を切り替えました。
そして、2007年には「観光立国推進基本計画」で、アウトバウンドとインバウンドをバランスよく促進していく方針になりました。

これらの歴史を引き継いで、2013年6月14日に日本再興戦略が策定され、2014年6月24日に改訂が行われました。
そこでは、インバウンドである外国人旅行者数を現在の1,000万人からその2倍である2,000万人に!

また今後5年間で、現在約1万社の海外進出数(アウトバウンド)を、これまたその2倍である2万社に!

政府目標はインバウンドとアウトバウンド共に2倍

ここで大事なことは、大局で物事をみるとおおむね政府はその通り実現してきた、という事実です。
日本政府の海外戦略の歴史を振り返ったのは、まさに、そのためです。

もちろん政府がいつも正しいなんてことを言うつもりは毛頭ありませんが、マスコミ報道だけを垂れ流し的に見ていると、批判や短期視点が多いためか、「政府があれこれ言っているけど、どうせ・・・」となることが多いです。

この見方は、中小企業経営者という立場で考えると、本当によくありません。

政治と経済は両輪、経営者ならそこから学べるものがあれば活かすべきです。

大きな流れに乗れると、波乗り経営ができることもありますよ。
(毎度言っていることですが、とはいえ、安直に、だからすべての中小企業は海外へ行くべきだ等とは決して思いません。一番賢いのはもしかしたらそういった流れをしっかりと把握しながら、日本で仕事を続けていくことができる会社や経営者なのかもしれません。)

東南アジア進出の留意点をいくつか

先月、認定支援機関向けに行われた「中小企業の海外展開支援研修」を丸3日間缶詰状態で受講してきましたので、今回から何回かに渡って、中小企業経営者にとって有益ではないかと思われる事項をシェアしたいと思います。

〇アジアで進出後、特に撤退しにくい国
中国、ベトナム、インドネシア
→社会主義系は撤退しにくいようです。

〇給与規定を整備すべし
中国は1日以内、ベトナムは1時間以内に、全員の給料を全員が知っていると言われています。
→文句をいわれないように給与規定や資格規定などをきちんと整備しておきましょう。

〇通訳さんの権限を分散させる
日本側と現地の人との橋渡しとなる通訳が出来る人は、とても貴重ですが、その貴重さゆえに、権力を握ってしまい不正が起きたりしているようです。
→(いずれは)通訳出来る人を複数にする、通訳以外の仕事もきちんとさせるようにしましょう。

〇代理店契約(Agency Agreement)と販売店契約(Distributor Agreement)を混同しない
→海外で代理店といえば、商社やメーカーの代理としてその商品を広く紹介し販売拡大活動に寄与する役割を担います。従って、代理店は売買契約の当事者とはなりませんので、その活動から生じるすべての損益や危険は、商社やメーカーに帰属します。

→一方で、海外で販売店といえば、商社やメーカーである売主と現地の買主との間に入って、実際に売主から仕入、買主に販売します。そのため、その活動から生じるすべての損益や危険は、いったん販売店に帰属することになります。
代理店と販売店は全く異なりますので、注意しましょう。

→上記に加え、代理店契約と販売店契約のそれぞれにおいて、取扱商品や活動地域などについて独占的(Sole)又は排他的(Exclusive)地位を与えているかどうかも、海外では特に重要です。

〇お手軽海外信用調査
→独立行政法人日本貿易保険(NEXI)がやっている「海外商社格付制度を利用した海外企業の信用度判断」は有効です。登録済みの会社は、中小企業では3社まで無料でWEB閲覧できます。また、有料でも1万円以下と格安です。

【日本貿易保険】

http://nexi.go.jp/


この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

次回【海外展開支援研修からのシェア-2】予定です。

メール通信№412


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