海外展開支援研修からのシェア-3

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、「海外展開支援研修からのシェア-3」と題して、「海外展開支援研修からのシェア-1」「海外展開支援研修からのシェア-2」の続きをお送りします。

現地外国人労働者(キーマン)の採用

今回は、海外展開支援の中で人材にまつわるものとして、「現地外国人労働者関係」と「日本人駐在員関係」をお伝えします。

工場建設や新規出店などで東南アジアの国々に海外進出しようとする時に、大変重要な部分が、「現地外国人労働者としてのキーマンの採用」です。

出来ればこのキーマンは、現地の言葉がわかり日本語がわかるというのが理想です。
適切なキーマンが採用できれば、このキーマンを通じて多数のワーカーを確保していけばいいのですから、後工程でスムーズです。

また、このキーマン1人をまずは徹底して日本式に教育していけば、その後の他の現地従業員への広がりもイージーでしょう(このキーマンを日本の工場や店舗、本社等に連れて来れると尚良い場合が多い)。

とはいえ、時に、このキーマンが自分の身内や仲間ばかりを採用し、工場などが乗っ取られたというような話も聞きますので、キーマンにすべてを任せてしまうというのはダメです。
これほど重要なキーマンの採用ですが、一般的に言われるやってはいけない事として、「役所等からのあっせん」は断った方がいいでしょう。
一見良さそうに見えるのですが、甘いものには毒があるという感じで、後でトラブルになることが多いようです。

では、どうしているのかというと、一般的には日系の「人材紹介会社」や「採用代行会社」に頼まれることが多いでしょう。

未開の地といわれるミャンマーやあまり馴染みの薄いラオスなどでも、これら日系の会社はありますので、空港やJETRO、商工会議所などにおいてある日本語情報誌に掲載されている広告を見られるといいでしょう。

現地外国人労働者(キーマン)の育成

日本の中小企業では、「従業員育成計画は特にない、あるとすれば社長の頭の中」ということはよくあります。
そんな中小企業でも、東南アジアに海外進出をする場合は、考えを改める必要があるかもしれません。
当たり前ですが、日本人を日本文化のある日本で採用するのと、外国人を外国文化のある外国で採用するのとでは、コミュニケーションの難易度1つをとっても、大変ハードルが高いです。

そこで、「従業員が身に着けるべき能力やマインド」をきちんと文章に書き起こして、それらをどうやったら自分のものと出来るのかの教育手段を事前に講じておくことが大切です。

その中で、会社の社風や日本人独特のチームワーク精神等を身に着けさせるためにも、先述したキーマンの日本工場等への視察は有効なやり方ではないかと思います。

豆知識ですが、一般論として、これらチームワーク精神等を身に付けるのに適しているのは「タイやインドネシア」で、逆にこれらを身に付けるのが不得手なのは共産圏である「ベトナムや中国」と言われます。

現地外国人労働者(キーマン)の育成で重要な事は、日本人と全く同じようにというのは、もしかしたらどこまでいっても難しいかもしれませんが、少なくとも「その差異と価値観」はきちんと認識してもらうことではないかと思います。

現地外国人労働者の採用・育成・管理のポイント

海外進出したことのない中小企業が現地外国人労働者を初めて雇った時に、大きな違和感を覚えるのが次の3つだと思います。

1、離職率が高い、いや高過ぎる
2、情報漏えいや不祥事などのトラブル頻発、いや頻発し過ぎ
3、宗教や慣習による違い、いや違い過ぎる

給料がよいと平気で次の日に真隣りの会社に転職して「こんにちは」と挨拶してくるような国(ベトナムの日系旅行会社でその話を聞きました)もあります。
日頃から従業員とコミュニケーションを頻繁にとるようにしたり、キャリアアップへの道筋をきちんと提示してあげたりなどの配慮が必要でしょう。

また、代金の着服や会社備品の持ち帰りなどもよく聞きます。
一番日本人に馴染みが薄いのが、宗教や慣習の違いかもしれません。

国ごとに会社として当たり前に配慮しておかないといけない事項がありますのでご留意ください。

日本人駐在員

現地外国人労働者ではまずそのキーマンを1人採用することが大事と述べたのですが、更にそのキーマンをマネージメントするのが、通常は日本人駐在員です。

一番良いのは社内から「海外赴任したい!」という声が自発的にあがってくるようなケースですが、そのようにうまくいかないことも多いです。
その場合は、社外からのヘッドハンティングや友人知人からの紹介、それでも難しい場合は社内から半ば強制的に赴任してもらうということが考えられます。

どちらにしても、海外赴任は相当ハードになりますので、単に体力があるというだけではダメで、精神的にもタフでないと務まりません。

海外赴任すると、「不整脈になる」、「皮膚がおかしくなる」、「原因不明の病気にかかる」などは、よく言われることです(私の周りに該当者が3ケースともいます)。

中小企業経営者として、日本人駐在員を抱えることになった時にやるべき事は、
1.何かあったら本社が守ってあげるという強く暖かい姿勢を示す
2.帰国後のインセンティブをある程度明示してあげる

ということではないかと思います(他にも従業員の立場に応じてもちろん色々あるでしょうが)。

次回は、「海外展開支援研修からのシェア-4」予定です。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№416


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