アジア不動産投資ツアーに参加して-1

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


海外不動産投資は是か非か?

アジアにおける不動産投資に注目が集まっています。
合わせて、海外移住を考えている日本人も、以前に比べると増えてきています。

海外投資となってくると、海外金融機関の口座開設の必要性も出てきます。

そこで、海外不動産の現地調査を主な目的として、海外不動産投資及び海外金融機関口座開設関連のツアーに参加してきました。

お盆を削ってまで上記ツアーに行った主な理由は、「海外不動産投資は是か非か」を知りたかったからです。

胡散臭いというのが行く前の本音

5年程前から、アジア不動産投資に注目していたのですが、正直、胡散臭いと思って、遠巻きから眺めるだけにしていました。
(注目していたというのは私自身が投資をしたいという事ではなく、クライアント先へのアドバイス業務における必要な知識・経験として、という意味です。)

しかし、弊社クライアント先からもアジア不動産投資についての質問等が出るようになり、現地を見に行く決断をしました。

ということで、今回から複数回にわたって、「アジア不動産投資ツアーに参加して」を記します。

行ったところは、中国の深セン・珠海(ジュハイ)、香港、マカオ、フィリピンのマニラ・セブ、シンガポール、マレーシアのジョホールバル、タイのバンコク・アユタヤで、9日間の超ハードで超睡眠不足の内容の超濃い旅でした。

上記の中で不動産物件を具体的に見れたのは、フィリピンのマニラ・セブ、マレーシアのジョホールバル、タイのバンコク・アユタヤです。
中国の珠海(ジュハイ)、香港では、主に海外金融機関の口座開設関係となりました。

不動産の話の前に、マクロな話を先に書きます。

政府目標は海外展開会社を2倍に

2013年6月14日に日本再興戦略が策定され、2014年6月24日に改訂が行われました。
その中の「国際展開する中小企業・小規模事業者の支援」として、「今後5年間で新たに1万社の海外展開を実現する」と書かれています。

これ実は、驚きのとても高い目標数字なのです。
というのも、現役の経産省の方から聞きましたが、現状の中小企業の海外進出を1万社と想定しての、今後5年間で新たに1万社、なのです。

つまり、2018年3月末までに、現在の2倍となる2万社の海外進出を実現することが目標数字なのです(撤退もあるでしょうが割愛)。

政治と経済は両輪

このコラムで何度もお伝えしていますが、「政治と経済は両輪」です。

個人の主義志向に基づく政治には特に注意を払う必要はありませんが(お好きな方はご自由に)、経営者である以上、経営に影響がある政治は、見逃してはいけません。

経産省の方からこれも直接聞きましたが、この目標1万社は、欧米ではなくアジア、特に東南アジアを想定しています、とはっきり明言されていました。
日本に来てもらう外国人(観光客)を増やすという戦略は、大々的に報道されていますので、ご存知かもしれませんが、それだけでは片手落ちです。

政府は同時に、海外に打って出る、いや、ストレートに書けば、東南アジアに打って出る企業を後押しする、というのが現状であり、これから先3~5年の予測できる動きでもあるのです。

危機感の違いに驚く

日本で顧問先等を訪問していて時々びっくりするのは、東南アジア関連に対する危機感の違いです。

ざっくり年商30億円以上の会社では、「10年以上前から取り組んでいる、どうするか検討している、自社がどうなるのか不安を感じる・・・」等、押しなべて関心が高いです(業種による違いとしては製造業は一般的に関心が高いです)。

もちろん年商だけで決まるものではなく業種業態による違いも大きいのですが、とはいえ、「イスラム教やハラール認証等の話をして、全く関心がない」というケースは少なくなっています。

一方、ざっくりですが、年商3億円以下の会社では、「自社には関係がない」というスタンスの方が多いです。
それでも、この先10年後、企業の目的である存続と発展を続けていけるのであれば、東南アジアに無関心でもいいでしょう。

が、しかし、果たして、本当に自社を続けていくことができるでしょうか?
いつも、上記の反応の差に驚いていたのですが、もしかしたら、いよいよ小企業の経営にも、東南アジアが影響してくる本格的な時代が到来するのかもしれません。

もちろん単に、東南アジアに進出しなければならないというようなことでは全くなくて、従業員としてや、お客様として、取引先として、東南アジアを考えるというあたりがスタートなのかもしれません。

六甲山牧場にネイホーの声がこだまする

先週家族で兵庫県神戸市にある六甲山牧場に行きましたが、少し聞きなれた言葉が飛び込んできました。

早口で中国語っぽいのだけれど、なんか少しカンフーっぽい感じの言葉。
先月香港に行っていましたので、もしやと思い声をかけました。
するとやはり、家族連れで日本に来ている香港旅行者でした。
話している言語は、北京語ではなくジャッキーチェンが話す広東語。(もちろん英語も話せます。)

「ネイホー(こんにちは)、ンコイ(ありがとう)」あたりを話のきっかけに、少し話してみると、そのご家族は初めて日本に来たということでしたが、この後、大阪に行って、その前は東京に行っていたそうです。

ちなみに、2013年の香港人の日本への旅行者は、前年に比べてほぼ倍増の約70万人で、これは香港人口の1割にあたるというびっくりな数字です。
また、リピート率も70%以上となっています。

上記の六甲の出会いが偶然ということではなくて、たくさんの香港人が既に日本にやってきているというのが正しい理解です。

上記は一例ですが、東京や大阪、名古屋、北海道はもちろんのこと、それら以外の地方にも、東南アジアの波が押し寄せています。

日本政府も更にビザ緩和を推し進めていくようですので、経営者としては、お客様としてだけではなく、従業員や取引先としても関心をもっておく必要がありそうです。

では具体的に、小企業はどうしたらいいのか?

若干繰り返しになりますが、小企業はどうしたらいいのでしょうか?

「今すぐにでも現地調査を始めて、ナルハヤで現地会社を作りましょう!」、等とは決して思いません。
重要なので繰り返します、決して思いません。

もしろ逆で、東南アジアの時代が来て日本も大いに関係がある、ということを理解した上で、出来れば住み慣れた日本で仕事が続けられるように今まで以上の知恵を出し脳に汗をかき、努力を継続する、というのがベターかと思います。(もちろん、海外が好きでご自身が希望されて行くというケースは別ですが。)

実際、東南アジアに出て行っている日本人起業家等と現地で交流して実感するのは、「日本でうまくいかなかったので、再起をかけて海外に来ました」という方のいかに多いことか。
(当事務所は海外進出する中小企業や起業家を他の会計事務所以上にご支援していますので、誤解のないようにご理解頂ければ幸いです。)

私はこれを勝手に「V字回復レ点型」と呼んでいます。
本当にV字回復するのはこの中で少数だと思いますので、レ点としました。(Vになれば本当にいいのですが、応援しています。)

少数派に残念ながらなってしまいますが、日本でもうまくいっていて更なる飛躍を遂げるために東南アジアに来ましたと言う方も、もちろんいます。

私はこれを勝手に「波乗り型」と呼んでいます。
これは素晴らしい。

名称は別として、このことは、同様に顧問先や友人知人で東南アジアを既にいくつか回られた方の多くが共通しておっしゃいますので、実感として正しいのだと思います。

では何故、小企業でも東南アジアに関心をもたないといけないのか?

・従業員でイスラムの方が来てもあわてないため
・イスラムの方の前で、お酒や豚を出すような非常識なことをしないため
・肌が少し違う顧客が来てもいつもどおりの対応が出来るため
・日本語以外の言語の必要性を事前理解しておくため
・子供の将来のため
・ご自身の将来(介護や医療)のため
・戦争の可能性が高く日本人としてやるべきことがあるため

まだ、不動産の話に入れていませんが、次回「アジア不動産投資ツアーに参加して-2」に続きます。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№402


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