利益は出ているのにお金が無いのはなぜ?パート1

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


利益と現金の怪しい関係

企業経営においては、「利益は出ているのになぜか手元にお金が無い。納得いかないけど仕方なく納税資金を銀行から借り入れる」という状況になることがあります。

いわゆる、「勘定合って銭足らず」ということです。

この状況は一見すると不思議なように思うかもしれませんが、黒字倒産ということがあるわけですから、もちろん間違いではありません。

ではなぜ、儲かっているのに会社にお金がないなんてことになるのでしょうか。実はそのキーワードは、「利益と現金の違い」にあります。

利益も大事だが現金も大事

会社決算書上における「利益」とは、収益から費用を差し引いた残りとされています。

収益とは、物の販売やサービスの提供によって生じたいわゆる売上高に相当するもの及び営業外項目である受取利息や固定資産売却益などが該当します。
また費用とは、収益を獲得するために支出する仕入や外注費に相当するもの及び営業外項目である支払利息や役員退職金などが該当します。

一方、現金とは収入と支出を差し引いた残りとされています。

収入とは、売上の入金以外にも、資金が会社に入ってきたという意味で借入を起こした場合の借入金なども該当します。

また支出とは、通常の各種経費の支払い以外にも、固定資産の購入支出や借入金の返済なども該当します。
この現金を先ほどの利益と比べると、その「認識時期」において大きな違いがあります。

物販の売上を例にとると、物を相手に引渡し請求書を渡した時点で、通常は「利益」の概念である収益に計上することになります。
しかし「現金」の概念である収入に計上するには、まだ少し早すぎます。

通常請求書を渡した翌月以降に、物を購入してくれたお客さんから会社の通帳にお金が入金されますよね。
そして「現金」の概念である収入では、その入金時点で認識することになります。

利益はでているのに会社にお金が無いのはなぜ?

ということは、例えば売上サイトが長く仕入サイトが短いスタイルで商売をしている会社において売上が急増した場合、売上や利益が増えているのに、手元にお金が無くその増加運転資金分を借入しないといけないという、当たり前の状況になってしまいます。

更に多くの在庫を抱えていると仮定すると、在庫というのはそのまま資金が寝ている状態ですから、ますます資金繰りは悪くなります。

同じように固定資産の購入や事務所保証金の支払いなども、お金が固定化されるという意味で資金繰りに悪影響を及ぼします。

実はこのあたりの利益ではないキャッシュベースでの儲けの考え方というのは、経営においてとても大事です。
そしてそのことを経営者がわかっているかどうかは、その後にその会社が「貧乏ひまなし」におちいるのか、「適切な利潤を獲得」できるのかの分かれ目になるといえます。

そしてそれは、がんばれば報われる会社になれるかどうかということでもありますので、そこに働く従業員の待遇面にも影響します。

資金繰りのよい会社をつくれるということは、とても大事な経営者の仕事であるといえます。

次回は、「資金繰り改善5ケ条」についてお届けします。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№93


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