上場株の損失は、確定申告しないと繰越せない!
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
上場株式等の譲渡損失がある場合の確定申告
前回のコラム「上場株式等に係る譲渡所得」でもご紹介させて頂いた通り、今年の確定申告では株式を売買している人が非常に増えています。
また残念なことに、大半の方が損をしていらっしゃいます。
つまり、株式を購入したときの取得価額よりも低い価格で売却せざるを得なかったため、譲渡損失が出ているということです。
今回は株式の譲渡損失が出ている場合の確定申告に絞って、ご説明していきたいと思います。
譲渡損失の時にも申告は必要
このときに心配なことは、譲渡益が出たときには「税金がいくらぐらいかかるのか」とか「確定申告しないといけないかな」とかいろいろ考えられると思うのですが、譲渡損失が出たときには、「確定申告する必要がない」と思っていらっしゃる方も結構多いということです。
譲渡損失が出たときには、もちろん税金はかからないのですが、それでも確定申告をしておかなければならない場合があります。
それは「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例」の適用を受ける場合です。
株式で譲渡損失が出ても、それは給与所得や事業所得、不動産所得などの他の所得と相殺することはできません。
株式の譲渡損失は株式の譲渡益としか相殺することはできないのです。
例えば、平成19年中にA株式を売却して100万円の利益、B株式を売却して200万円の損失となった場合には、平成19年は合わせて100万円の損失となります。
ではこの後、平成20年にC株式を売却して100万円の利益が出るとします。この場合、平成19年の損失100万円と平成20年の利益100万円は相殺できるでしょうか。
これが「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例」です。
つまり、要件を満たしていれば相殺することができるのです。
繰越控除は3年間
ここで、「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例」の内容を改めてご説明しておきます。
まず対象となるのは、上場株式等を証券会社等を通じて売却したときに発生した譲渡損失のうち、その年の株式等の譲渡所得等から控除しきれなかった金額です。
非上場株式を譲渡した場合や、上場株式の譲渡であっても、証券会社を通さず相対取引で発生した譲渡損失などは対象となりませんので、注意して下さい。
また損失を繰越できる期間は、損失の発生した年の翌年以後3年間です。
3年間で他の株式の譲渡益と相殺できなければ、その譲渡損失は切り捨てとなります。
株式の譲渡がなくても付表の提出が必要
この特例の適用を受けるためには、まず損失の発生した年に、以下の書類を添付して確定申告書を提出しなければなりません。
(1)株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
(2)所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の繰越用)
そしてその翌年以降も、必ず連続して確定申告書を提出し、株式の譲渡があった場合には上記の2つの書類を、株式の譲渡がなかった場合でも(2)の書類を添付しなければなりません。
該当される方は申告漏れや書類の添付漏れなどがないよう十分注意して下さい。
尚、確定申告は弊社でも受付していますので、お気軽にご相談下さい。
今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。
メール通信№70
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