経営者にとっての本当の税金の話

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


さて今回は、一般的な税金の話ではなくて、「経営者にとっての」税金の話をお伝えします。

慰安旅行を実施したA社

従業員5人の飲食店を経営するA社は、今年からホームページを使って食材や商品の販売を始めました。

最初は反応が芳しくなかったネット販売も、あるときテレビで有名芸能人が「美容にいいので毎朝食べてます」といってくれたこともあり、つくればつくるほど売れる好循環となり、先日迎えた決算も昨対比倍増の利益となりました。

従業員思いのA社の社長は、この忙しい中がんばってくれた従業員に報いたいと、従業員の家族も交えた「慰安旅行」を計画しました。

計画では…

社長の計画では、長く会社を休むわけにもいかないこともあって(でも従業員全員参加で実施したい)、旅行の期間は短くとも内容の濃い豪華な慰安旅行としてあげたいと希望していました。

3泊4日で、大体1人20万円ほどの予定でした。太っ腹、社長。

飲食業ということもあり、良い食材の良い料理を食べて、今後の仕事にも活かしてもらおうとも社長は考えていたようです。

また、妻であれ親であれ家族を連れてくる人は、本人以外にもう1人分は会社負担にしてあげることとし、それ以上は個人負担を計画していました。

総額200万円ほどになりますが、今後の社内の結束を固めるうえでも必要経費であると、社長は考えていました。

表向きの税金の話

そしてその計画を税理士に話すと、大体従業員1人当たりの会社負担が、20万円×2人=40万円となるので、「給与課税」される可能性がありますね、ということでした。

私も税理士。
私が聞かれても、多分同じような見解になるでしょう。
ですから今回の慰安旅行は、社長にどんな思いがあろうとも、「給与課税」が原則。
これが、(表向きとして)正しい税金の話です。

ちなみに、税務署の公式文書では、「その旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員の参加割合、使用者及び参加従業員の負担額及び負担割合などを総合勘案して実態に即した処理をすることとしながらも、次のいずれの要件も満たしている場合には、原則として課税しなくて差し支えない」こととしています。

1.その旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数による。)以内のものであること
2.その旅行に参加する従業員等の数は全従業員等(工場、支店等で行う場合には、その工場、支店等の従業員等)の50パーセント以上であること

となっています。

金額についての明文化されたものはなく、今までの判例から、一般的には「1人当たり10万円程度」の会社負担であると課税されないとされています。

経営者にとっての本当の税金の話

この慰安旅行の話は、ある会合で知り合った(クライアント先ではない)社長から聞いたものです。

一番良いのは、税務上OKであってなおかつ慰安旅行がみんな楽しく行けることでしょう。

しかし、税務上の話をすると、慰安旅行については、「4泊5日以内であること」とか、「従業員の50%以上が参加すること」や「会社負担金額については、おおむね1人10万円程度が無難」ということになっちゃいます。

でも本当に大事なのは、その200万円という大金にかけた社長への思いが実現することではないでしょうか。

例え「給与課税」されようが、一部が役員賞与として損金不算入といわれようが、そういったことを理解したうえで、経営者としては、税金に振り回されない経営判断が求められます。

というのも、税金は毎年変わりますし、そもそも今の税法が、経営においても「正しい」ということはないでしょう。(かといって、税法から逸脱してしまうというのはもちろんご法度ですが)

私が、今回のコラムでお伝えしたいのは、税金に振り回されない経営判断が必要なときもあるということです。

そのためにも、こういったときにはどういった税務リスクがあるのか、今回のケースであれば、どれくらい税金が発生するのかなどを事前に理解しておいておくとといいでしょう。
そのためにも、税務の不明点などはなんなりと当事務所におっしゃって下さいね。
経営者の参謀役となることを今村税理士事務所は目指しています。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№14


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