企業防衛資金の考え方

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、会社のリスクマネジメントに備えた「企業防衛資金はいくら必要なのか」について、お送りいたします。

もしも・・には、後継者とお金

中小企業の場合、家族経営の会社も多く、社長が営業をして奥さんが経理という夫婦だけの会社というのも少なくありません。

社長が健康でまだ高齢とはいえない年齢の場合、もしもに備えて会社で戦略を練っている中小企業は少ないと思います。もしも、突然社長に何かあったらどうすればよいのでしょうか?

もしもに備えて必要なものは、後継者とお金です。今回は前者は割愛させていただき、後者のお金について考えていきます。

中小企業経営者は、会社と家族の双方を!

中小企業経営者は、不測の事態に備えて会社と家族の双方のお金の心配をするべきです。

まず、会社としては ①借入金返済資金、②当面の運転資金、があります。

社長に何か不安材料があれば、金融機関はまず借入金の返済を求めてきます。仮に息子が急きょ事業を引き継ぐことになったとしても、借金を抱えてのスタートにさせたくありませんし、事業継続は厳しいものと思われます。

また、社長1人が取引先などとパイプを持ち、売上をしている中小企業も少なくありません。社長がいなくなった場合、当面の運転資金もショートしてしまう可能性も高いのです。

このような予想範囲内の資金繰りに備え、今から対策を考えておく必要があります。そこで、少ない掛金で大きな保障が得られる保険をリスクヘッジの方法の1つとしてご紹介します。

例えば、借入金残高3,000万円、当面の固定費200万円×6ヶ月の会社の場合、3,000万円+(200万円×6)=4,200万円が必要と考えます。

ここで重要なことは、100%費用になる保険に加入していた場合、保険金収入は100%課税対象になるので、税金を考慮する必要があることです。
実行税率を35%と仮定した場合、4,200万円×35%=1,470万円も税金がかかります。
ということは、税引き後4,200万円を確保するために、4,200万円×(1-0.35)=6,461万円の保障額の保険を検討することになります。 (ただし、下記のような退職金等を支給すると、損益通算が可能となり、税負担は軽減します)

次に、家族に今後の生活保障としての資金を残すには①役員退職金、②弔慰金、があります。

役員退職金は、一般的に「報酬月額×在任年数×功績倍率」まで会社の費用にできます。例えば、最終月額報酬70万円で在任年数20年(功績倍率3倍)の社長の場合、70万円×20年×3倍=4,200万円の退職金の支給が可能です。また、退職金については、所得税法や相続税法においても優遇されています。

弔慰金についても、相続税法上で非課税枠が設けられています。業務外で死亡した場合は死亡当時の月額報酬の6ヵ月分、業務上で死亡した場合には36か月分が非課税として遺族に支給することができます。

なお、役員退職金や弔慰金を支給できるように「役員退職金規程・弔慰金規定」を整備しておくことを忘れないで下さい。

非課税枠があっても・・・

中小企業においては、会社に入るお金と家族に入るお金の合計額が「企業防衛資金」ということになります。
ただし、いくら税法上において優遇規定や非課税枠があったとしても、資金がない場合には支払うことができません。無借金経営で資金が潤沢にあるような会社は一握でしょうから、何らかの方法で事前にお金をストックしておけるように準備しておきましょう。

このお話が少しでも経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№149


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