中小企業は傾き出すと早い
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
中小企業は傾き出すと早い
中小企業の顧問税理士という仕事をしていると、「中小企業は傾き出すと早い」ということを実感することが多々あります。
これには、
・(大企業に比べると)売上や人員の規模が小さいため、1つのトラブルによるダメージが相対的に大きくなるから
・売上を数社の得意先に頼ってしまっているから
・新規取引時等に与信管理が出来ていないから
・経営にけん制機能が働かないことが多いため、大きな判断ミスが起きてしまうから
・ミスが増えだす等の傾きかける兆候に気付けるようなキーマンが、経営者以外にほとんど存在しないから
・上記のようなトラブル等があった時のために、他分野への先行投資を行っているケースが少ないから
・坂道を転がる時と同様で、借入や売上減少等が最初はゆっくりでも段々加速していくから
などの理由があるのでしょうが、今業績の良い会社も「勝って兜の緒を締めよ」の精神を忘れずにいてほしいですし、業績を回復しつつある会社も「油断大敵」の精神でまだまだ安心しないでほしいです。
業績の良い会社様へ
業績が良いと役員報酬も十分に獲得できるでしょうが、「中小企業の役員報酬=自由に使えるお金」ではないことは忘れずにいて下さい。
中小企業では会社にお金が足りなくなって、金融機関からの融資が望めないのであれば、経営者に資金注入してもらうしかありません。
また、ほとんどの中小企業が融資について経営者の個人保証がなされています。
これらを考えると、あくまで一般論ですが、「中小企業の役員報酬=生活費+会社簿外貯金」となります。
会社のマサカの時のために、役員報酬から毎月いくらかはきちんと貯金しておいて下さいね。
古びた言葉ですが、禍福は糾える縄の如し(カフクハアザナエルナワノゴトシ)、人間万事塞翁が馬(ニンゲンバンジサイオウガウマ)は、中小企業経営にとっては重要な諺だと思います。
傲慢になりがち・・・
会社の業績が良いとどうしても傲慢になってしまうもの。
俺はそんなことはない、というのがそもそも傲慢なのかも。
ありきたりな論はあまり好きではありませんが、以下は中小企業経営者にとって大切な事だと感じますので列挙します。
素心塾の池田繁美塾長「謙虚さがなくなる14の兆候」
○ 時間に遅れ出す
○ 約束を自分の方から破り出す
○ あいさつが雑になり出す
○ 他人の批判や会社の批判をしだす
○ すぐに怒りだす(寛容さがなくなる)
○ 他人の話を上調子で聞き出す
○ 仕事に自信が出て来て、勉強をしなくなる
○ ものごとの対応が緩慢になってくる
○ 理論派になり出す(屁理屈を言う)
○ 打算的になり出す(損得勘定がしみつく)
○ 自分が偉く思えて、他人が馬鹿に見えてくる
○ 目下の人にぞんざいになる
○ 言い訳が多くなる
○ 「ありがとうございます」という言葉が少なくなる(感謝がなくなる)
時々、自身にとって当てはまる項目がないかチェックしてみて下さい。
会社の守りを固める
また、業績の良い時にそこにあぐらをかくのではなく、会社の守りやリスクヘッジのために、お金や時間を使って下さい。
・必要な人や物への保険加入
・従業員の退職金準備、60歳以上になった時の従業員の処遇のための準備
・ブラックスワン(有り得ない事象、予期せぬ出来事)を前提とした準備
・会社のゴーイングコンサーンのための事業承継の準備
・社長個人の老後設計
過去の赤字から業績を回復しつつある会社様へ
過去の赤字からようやく業績を上向きにもってきたことには敬服しますが、まだまだ気を緩めてはダメです。
よくある中小企業のケースでは、業績が回復してきて借り入れも減り始めたと思ったら、また2、3年で元の状態に戻ってしまったというものです。
・役員報酬はまだまだ据え置きでいきましょう(税務戦略として上昇させる場合を除く、この場合は貯金をしておく)
・車を買い替える必要が本当にありますか
・コピー機だってまだまだ現状のままで使えるでしょう
・飲み食いに行く時間があったら営業しましょう
・従業員とのコミュニケーションが疎かになっていませんか
・過去の失敗の検証はきちんと出来ていますか
・自分にとっての経営や財務のカムフォートゾーン(従来慣習的にやって来た居心地の良いところ)を正しく上昇させることが出来ていますか。
⇒同業種同規模の経営者同士でも、借入額や役員報酬額、従業員の給与水準の自分にとっての心地よい当たり前ゾーンはピンキリです。本当にピンキリです。
これは親の影響や育ってきた環境、最初に勤めた会社の影響などが大きいようですが、そんな言い訳は必要ありません。自分のカムフォートゾーンを適正に上昇させて、業績が回復してきたらまた元の木阿弥、ということのないようにしましょう。
GW後はまた気を引き締めて
2000年からのITバブル→上場バブル→不動産バブル→FXバブル→ソーシャルゲームバブル(現在進行中)を、ベンチャー企業の参謀役として外部から、又は時に当事者として接してきて、実際自分や顧問先がピンチの時に書いた言葉で、今も机の前に張っているのが以下です。
・拡大は慎重に
・経費は抑える
・治に居て乱を忘れず(君子安くして危うきを忘れず、存して亡ぶるを忘れず、治まりて乱るるを忘れず、ここを以って身安くして国家保つべきなり)
・危機の時は欲を捨てる
・目立たず地道に誠実に
GWでじっくり身体と心を休めた後は、また気を引き締めて、仕事に精を出し楽しみませう!
この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№283
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