2014年、中小企業の淘汰が始まる!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


2014年は、中小企業の転換点となる

今年は、中小企業にとって、転換点となる年になりそうです。

政府は、日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)の中で、新しい起業や経営者の再チャレンジ等により「開廃業率10%」を目指す、としています。
それは、裏返せば破産寸前の会社には早目に退場してもらう、ということを意味しています。「開廃業率10%」という戦略は、開業率を高めると同時に、廃業率を高める戦略でもあります。

この流れの中で、3月までに以下の2つが始まります。
・セーフティネット保証(5号)の業種縮小
・経営者保証に関するガイドラインの適用

セーフティネット保証というのは、信用保証協会の保証付き融資で、一般の保証協会融資とは別枠で、無担保8,000万円、有担保2億円までの融資が受けられる制度です。
そのうち、セーフティネット保証(5号)は、業況の悪化している業種を対象とするもので、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少している場合などに融資を受けることができます。

このセーフティネット保証(5号)は、リーマンショック時にほぼ全業種を対象に拡大されましたが、その後徐々に縮小され、現在に至っています。
昨年12月、セーフティネット保証(5号)の更なる縮小が正式に発表されました。

中小企業庁のホームページでは、”セーフティネット保証(5号)については、平時の運用への移行を図り、短期的に業況が悪化している業種に属する事業者を支援する措置として、引き続き積極的に活用していきます”と発表されており、事実上、緊急保証としての役割を完全に終える、ということのようです。

縮小後の対象業種は既に発表されており、642業種から195業種へと約3割に減少します。縮小時期は、”平成25年度補正予算の成立後、3週間程度の周知期間を経た後、移行”とされています。3月末までには、実施される予定です。

2月に「経営者保証に関するガイドライン」適用開始

もう1つは、「経営者保証に関するガイドライン」です。

現在、約120年振りの民法改正が議論されていますが、その中で経営者以外の個人保証の原則廃止が検討されています。「経営者保証ガイドライン」には、さらに一歩踏み込む形で、経営者保証なしの融資の促進、保証債務の履行基準の緩和などが盛り込まれています。

例えば、中小企業が経営者保証なしに融資を受けたい場合、次のような経営状況であることが求められます。

①法人と経営者との関係の明確な区分・分離
法人の業務、経理、資産所有等に関し、法人と経営者の関係を明確に区分・分離し、法人と経営者の間の資金のやりとり(役員報酬・賞与、配当、オーナーへの貸付等)を、社会通念上適切な範囲を超えないものとする体制を整備する。

②財務基盤の強化
財務状況及び経営成績の改善を通じた返済能力の向上等により、信用力を強化する。

③財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
資産負債の状況(経営者のものを含む)、事業計画や業績見通し及びその進捗状況等に関する対象債権者からの情報開示の要請に対して、正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示・説明する。
なお、開示情報の信頼性の向上の観点から、外部専門家(税理士等)による情報の検証を行い、その検証結果と合わせた開示が望ましい。

また、保証債務の整理時には、保証人である経営者が、早期事業再生を決断し、このガイドラインに基づき保証債務の整理を申し出れば、保証債務の履行請求が限定的となり、一定基準日以降の収入は保証履行請求額に含まれないなど、安定した事業継続等に必要な保証人の残存資産が増加する可能性が高まる、としています。

経営者保証ガイドラインには法的拘束力はありませんが、中小企業庁や金融庁により、積極的な活用が促されており、平成26年2月1日から適用されます。

上記の2つの施策の背景には、冒頭の「開廃業率10%」戦略があります。この戦略に則って、今年から中小企業の選別、淘汰が始まり、今後もこの傾向は続くものと思われます。”退場”に追い込まれないようにどうすればよいか、これからが中小企業にとっての正念場です。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№368


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