新聞やテレビでは決して教えてくれない!本当の中小企業の実態
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
赤字7割ってホント?
「黒字の企業はわずかで、大体赤字企業が7割である」と、いわれることがあります。
本当でしょうか。
根拠は、毎年国税庁が発表している下記の「会社標本調査」なのですが、これには、裏があります。
裏の1つ目は、ここでいう赤字法人(欠損法人)には、今期黒字なのだけれども、過去に繰越欠損金があって、結果税金が発生しなかった会社も含まれているのです。
つまり、こういった会社は、赤字ではなく今期黒字なのです。
裏の2つ目は、ここでいう赤字には、実質儲かっている以下のような中小同族会社の場合も含まれているのです。
売上1億円
経費6,100万円
社長給料4,000万円
差引利益△100万円
これは、税務調査対策等も兼ねて、利益をそのまま役員報酬でとっているだけで、会社でお金が足りなければ社長借入で賄い、赤字とはほど遠い会社であるといえます。
しかし逆に、本来は赤字であるのに、銀行対策で、減価償却を計上しない、社長給料を低額に抑える等で、何とか見かけ上だけ黒字にしている会社も、黒字扱いになっているという面もあります。
つまり、国税庁発表資料を根拠とした、赤字7割は、中小企業の実態を正確に表わしているとはいえないのではないかと思います。
儲かってまっか?
実際、我々が決算申告をしていても、赤字が7割もあるという実感はありません。
(特に最近は)もっと黒字企業が多いという印象です。
しかしそういうと、「今村さんところは、良いお客さんが多いからだよ」と言われることもあるのですが、あるトップセールスマンがこう言っていました。
――――――
新規のお客さんの会社のドアを叩いて第一声で、同意を得るように渋い顔で、「色々と大変ですよねー」
なんて言っちゃうと、経営者の感覚と180度逆になってしまい商談失敗に終わるので、「最近」要注意なんですよ。
以前はこういうことは少なかったんだけど、最近は増えてきているね。
――――――
この方いわく、業績の良い会社(過去最高益等すごく良い会社も最近多い)が最近増えてきているので、最初の第一声は、「儲かってまっか?」のような目線の会話が必要だそうです(もちろんそうでないケースも多々ありますが)。
例えば、
・従業員の採用の話
・節税の話
・新規投資の話
・買収案件の話
・新商品や新サービス開発の話
です。
(いきなり初対面で、儲かってまっかは流石に失礼かと思いますが。笑)
人によって見えている世界は違う
よく言われることですが、同じ景色、同じもの、同じ人に出会っても、それまでの知識や経験、その方が今興味のあること等によって、見えている世界は違います。
色々な経営者の方と話をしていて、最近、特にこのことを実感します。
ネガティブに見てしまうと、せっかくのチャンスを逃していることも考えられます。
上位12%の中小企業は大企業より利益率高い
少し古いデータで恐縮ですが、平成21年の中小企業白書によると、「上位12%では、中小企業の経常利益率が大企業を上回っています」とあります(経常利益率=経常利益÷売上高)。
また、上位25%の中小企業では、大企業の平均経常利益率より高くなっています。
つまり、大企業以上に大儲けしている中小企業が10%以上存在しているということです。
これは、決算実務を行っていて実感と合います。
これは私の持論ですが、「中小企業は大企業以上に小回りが効いて」、大企業のように何かあれば担当者が変わるようなこともなく、というより、その場所に根付いて事業を行うことが多いですから逃げることも出来ず、結果として、「アフターサービスを大企業以上に行い」、何かトラブルがあれば、すぐに最終責任者である社長が顔を出すことが出来て即断即決も可能で、結果として、「何かトラブルがあっても誠意ある対応を大企業以上にとる」のですから、大企業と同じサービスを行うのであれば、高くて当たり前、利益率が高くて当たり前、です。
そして、そのお金を中小であるがゆえに起こる今後のトラブルのために蓄積しておくのです。
(大変な価格競争の中、苦労されている中小企業が多数あることも存じ上げていますので、もし失礼な部分があれば先に謝っておきます。)
【中小企業白書】
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h21/h21/index.html
私がここで申し上げたかったのは、「(いい加減な情報である)赤字7割だから当社が赤字でも仕方ないか」なんていう低い目標に甘んじることなく、逆に、「大企業以上の利益率を上げている会社が8社に1社は事実存在しているのだ」という、新聞やテレビでは報道されない本当のデータに目を向けてほしいのです。
倒産する社長の共通項
最後は、定性的(定量的の反対言葉で数字で表せない事柄のこと)なことですが、これも「新聞やテレビでは決して教えてくれない!本当の中小企業の実態」ではないかと思いましたので、お伝えします。
東京の上野に、倒産した会社の社長の集まりである「八起会(やおきかい)」というのがあります。
その八起会での発言だそうですが、倒産会社の社長には3つの共通項があると。
1.職人タイプ
2.情に厚い
3.計数に弱い
3以外は悪い事ではないかと思いますが、該当する方は、例えば、職人タイプなのであれば、「情には過度に流されないようにしよう」とか、「計数に強くなろう」等と対応されるのがいいのではないかと思います。
今後もこのコラム記事で、新聞やテレビではなぜか報道されないが、中小企業 にとって大切ではないかと感じる部分があれば、またお伝えします。
この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№382
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