生産性向上設備投資促進税制、適用のコツと判断のポイント

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


新しい設備投資減税は、異次元税制

今年は設備投資をするには、絶好のタイミングだと言えます。アベノミクス税制により、即時償却OK、税額控除上乗せOKの「生産性向上設備投資促進税制」が始まっているからです。

機械はもちろんのこと、なんと建物や建物附属設備についても、即時償却や税額控除ができるという異次元の税制です。通常なら何十年という耐用年数で償却しなければならない建物ですら、即時償却できてしまいます。

対象業種の制限はありませんので、製造業だけでなく、非製造業も適用可能です。対象となる資産は、平成26年1月20日以降に取得した「生産等設備」です。
本店建物、社宅、事務用器具備品、福利厚生施設、中古資産などは対象外となります。

即時償却ですから、期末ギリギリに取得・事業供用したとしても、全額損金です。税額控除は原則5%(建物、構築物は3%)ですが、中小企業投資促進税制の対象設備であれば、上乗せ措置で7%or10%となります。

先端設備~手続きは簡単だが、対象資産に制限あり

具体的にどんな資産が対象となるかですが、まず取得価額要件があります。

・機械装置:160万円以上
・工具及び器具備品:120万円以上(単品30万円以上である資産の合計も含む)
・建物:120万円以上
・建物附属設備:120万円以上(単品60万円以上である資産の合計も含む)
・ソフトウェア:70万円以上(単品30万円以上である資産の合計も含む)

上記の金額をクリアした上で、次の要件があります。

要件は対象資産の種類で2つに分かれます。

1つは「先端設備」、もう1つは「生産ラインやオペレーションの改善に資する
設備」です(前者をA資産、後者をB資産とします)。

A資産は、旧モデルと比べて年平均1%以上生産性を向上させる最新モデルであることなどが要件とされます。具体的には、設備メーカーから各設備を担当する工業会等に上記要件を満たすかどうかの確認をしてもらい、証明書を発行してもらいます。
実際に設備投資する際には、購入する前に先端設備であるかどうかの確認をしておかないと、あとから実は対象外資産だった、となりかねません。少し割高だけど上記税制が使える資産と、お買い得だけど上記税制対象外の資産、どちらにするかといった選択も出てきそうです。

なお、A資産については、実は対象になる資産の細目が資産の種類ごとにさらに細かく定められています。機械装置についてはフリーですが、その他の資産については資産ごとにこれはOK、これはダメなどがありますので、確認が必要です(ここでは詳細は割愛します)

生産ライン・オペレーション設備~手続きは大変だが、資産の個別制限なし

B資産については、設備投資計画における投資利益率が年平均15%以上(中小企業者等は5%以上)という要件がありますので、これをクリアする必要があります。
具体的には、設備投資計画、投資利益率の計算資料、その根拠資料や見積書、税理士等の確認書などを準備して、経済産業局に申請します。上記要件を満たしていると判断されれば、その設備投資計画について経済産業局から確認書が発行されます。

また、設備取得後においても、設備取得等の翌事業年度から3年間、投資利益率等の実績を経済産業局に報告する必要があります。計画未達成であっても、当初の確認が取り消されるなどのペナルティはありませんが、A資産と比較すると会社の負担が大きいことは否めません。

その代わり、メリットとしては、資産の個別要件がありません。つまり、建物や建物附属設備、工具、器具備品、ソフトウェアであっても取得価額要件を満たし、上記確認さえ取れれば、オールフリーです。実際、A資産の対象からは外れているが、B資産ならOKというケースがあります。

手続きのポイントは、「資産の取得時」までに上記の確認書発行を受けておかなければならないということです。具体的には、資産の納品時、工事の完了引渡時までです。確認書発行までに資産を取得してしまうと、対象外となります。

経産省パンフレットによると、申請から確認書発行まで約1ヶ月ということですので、申請は早めにする必要があります。

ただ、弊社は既にこのB資産の確認手続を行いましたが、申請から確認書発行まで2~3日で終えることができました。近畿経済産業局での申請ですので、その他の地域では異なるかもしれませんが、まだ申請件数は少ないようです。

弊社では申請実績があり、上記申請、事前確認書作成に対応することができますので、お気軽にご相談下さい。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№384


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