経済対策決定、中小企業への影響は?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


経済対策のキーワードは、「経営力・生産性向上」

先日8月2日に、事業規模28兆1,000億円(注)の「未来への投資を実現する経済対策」が閣議決定されました。事業規模ベースでは、安倍政権下で最大の経 済対策となります。

(注)国と地方の直接の歳出(真水)は7.5兆円

この際、政治的意図はとりあえず横に置いておくとして、その内容について、中小企業に影響を及ぼしそうな項目をピックアップしてみます。

大きくは、以下の項目で構成されています。

1.一億総活躍社会の実現の加速
2.21世紀型のインフラ整備
3.英国のEU離脱に伴う不安定性などのリスクへの対応並びに中小企業・小規模事業者及び地方の支援
4.熊本地震や東日本大震災からの復興や安全・安心、防災対応の強化
5.成長と分配の好循環を強化するための構造改革等の推進

その中から、目に留まったものをいくつか取り上げます。

◇キャリアアップ助成金の活用
平成28年(2016年)10月からの被用者保険の適用拡大に向け、短時間労働者の賃金アップや労働時間の延長を行った場合に支援を行うキャリアアップ助成金について、その活用を図る。

◇中小企業・小規模事業者向けの資金繰り支援
中小企業・小規模事業者へのセーフティネット貸付制度等の金利の引下げ(日本政策金融公庫、商工中金)、経営力向上のための計画認定を受けた事業者に対する融資制度の創設とともに、既存の保証付き融資を借り換える際の保証を実施する。

◇中小企業・小規模事業者の経営力強化・生産性向上支援
ものづくり・商業・サービス産業における革新的な開発の支援やIT導入、海外展開、商店街の集客力向上支援等を行い、中小企業・小規模事業者の生産性向上を図る。また、中小企業の事業転換の円滑化を図る。
最低賃金引上げの環境整備として、経営力強化・生産性向上に向けて、中小企業・小規模事業者への支援措置を推進・拡充する。

◇働き方改革の推進
長時間労働の是正については、労使で合意すれば上限なく時間外労働が認められる、いわゆる36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方について、再検討を開始する。

ざっと見てみると、「経営力向上」「生産性向上」「働き方改革」、このあたりがキーワードになりそうです。

今年度の最低賃金の引上げ額の目安は、全国加重平均で24円となっています。
これを実施するためには、企業に生産性の向上を促し、長時間労働を是正し、”経営力”を向上してもらう、要するに儲けてもらわないといけないわけです。

そのための助成金や融資などの後押しが、今後いろいろと出てきそうです。

中小企業に直接メリットがある施策は?

各項目の主な具体的措置として、上記施策の個別対策が挙げられていますので、気になるものを紹介します。

<助成金関係>
・介護離職防止のための支援(介護離職防止支援助成金(仮称))(厚生労働省)
・生活保護受給者等を雇い入れる事業主への助成措置の新設(厚生労働省)
・高齢者雇用の推進(65歳超雇用推進助成金(仮称))(厚生労働省)

<女性活躍推進>
・女性リーダー育成推進事業(経済産業省)
・地域女性活躍推進交付金(内閣府)

<長時間労働の是正>
・36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方の再検討(厚生労働省)

<マーケティング支援/生産性向上支援>
・小規模事業者販路開拓支援事業(経済産業省)
・中小企業の事業転換の円滑化(経済産業省)
・最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の経営力強化・生産性向上支援事業(厚生労働省)

<事業承継>
・中小企業の事業承継の円滑化に向けた対応等の検討(経済産業省)

<保証協会>
・信用保証制度の見直し(経済産業省)

現時点でまだ詳細はわかりませんので、今後の動きに注目しましょう。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№501


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