株式譲渡と事業譲渡は何が違うの?
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
株式譲渡とは?
第三者承継の方法としては、「株式譲渡」や「事業譲渡」以外にも、「会社合併」や「会社分割」などもありますが、小さな会社の第三者承継に限っていうと、「株式譲渡」と「事業譲渡」でほぼ全てと言ってもいいでしょう。
まずは株式譲渡ですが、株式譲渡は文字通り「株式を売る」ことであり、最もポピュラーな手法です。
譲り渡し会社の株主が、自身が持つ保有株式を第三者に売却することを指します。
一般的な小さな会社であれば、株主=社長や社長家族であることが大半ですので、社長及び社長家族が持っている自社の株式を第三者に売却するといえばわかりやすいでしょう。
また、一部売却というケースは少なく、100%株式売却となることが大半です。
この場合は、取引先との各種契約、従業員との雇用契約、事務所の賃貸借契約、各種許認可など原則的には全てそのまま譲り受け手にお渡し出来ます。
事業譲渡とは?
一方、事業譲渡とは、会社の中の「事業のみを第三者に売却する」手法です。この場合、対象事業を全部としてもいいし、一部としてもいいです。
事業譲渡の対象となる「事業」は、一定の目的のために組織化された有形無形の資産・負債、人材、事業組織、ノウハウ、ブランド、取引先との関係などを含むあらゆる財産です。
ただし、承継後、取引先との契約や雇用契約など全て再度の契約となりますので、譲り渡し手にとっても譲り受け手にとっても、本当にその事業をきちんと引き継いでもらえるのか、承継出来るのかと不安が生じることがあります。
メリットとデメリットどちらがいいのか?
株式譲渡と事業譲渡のメリットとデメリットですが、一方でのメリットは他方でのデメリットとなっていることが多いです。
例えば、株式譲渡では全てをそのまま承継するのが基本ですから、手続きが簡単で楽なのはメリットですが、承継時に顕在化していない帳簿外の負債も承継するリスクが譲り受け手にあるのはデメリットといえます。
一方、事業譲渡では個別承継のため、手続きが煩雑なのはデメリットですが、簿外負債を遮断できるというのはメリットでしょう。
また、株式譲渡では株主個人に承継対価が入金されるので、株式譲渡益課税約20%と低率で済みます。
しかし、所在不明株主がいる場合などは、第三者承継するのに手間暇がかかります。
一方、事業譲渡では、会社に承継対価が入金されます。
また、譲り受け手にとっては、「承継対価-引き継いだ純資産=営業権」となり、営業権部分を税務上5年間で償却出来る節税メリットがあります。
どちらの手法がいいのかは譲り受け手にもよりますが、一般的には株式譲渡の方がスムーズにいくことが多いです。
譲り渡し手としては、なるべくなら、「どちらでもいいですよ」というスタンスで第三者承継に臨めると、より良い譲り受け手に出会える可能性が高まります。
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メール通信№767
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