3月決算の会社様、この3項目だけは事前にご確認を!パート1

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、「3月決算の会社様、この3項目だけは事前にご確認を!パート1」、「決算対策、DESをすれば銀行格付アップ!?パート2」「決算書にお化粧をして銀行格付アップ!【決算対策】パート3」と、3回に分けてお伝えして参ります。

決算締め間近ですね

3月決算の会社であれば、そろそろ決算締め間近ですね。

経営者の皆さんの頭の中には、過去11ケ月の累計売上高及び利益額の実績値が、既にインプットされていますか。
さらには、3月のおおまかな売上高及び利益予想により、大体の決算着地点はシミュレーション済みでしょうか。

3月の決算を締めて出てくる「決算書」では、
1.税務署(納税額に影響)
2.銀行(今後の融資に影響)
3.経営陣(来期の事業計画等に影響)
それぞれに大きく影響しますので、事前の決算予想が大事な作業となります。

決算前にぜひこの3項目のご確認を!

そこで、決算間近の会社においては、ぜひ最低以下の3項目について、事前にご確認下さい。

1.来期消費税計算方法の選択
2.今期・来期社長報酬一部損金不算入対策及びシミュレーションの実施
3.消費税納税額予想

来期消費税計算方法の選択

原則2年前の売上高が5,000万円以下の会社は、消費税の計算方法として、原則課税方式以外に簡易課税方式というものを選べます。

原則課税方式とは、売り上げたときに預った消費税から費用等を支払ったときに支払った消費税を差し引いた残りを納税額とする方法です。
簡易課税方式とは、売上高とその会社の業種区分から消費税の納税額を計算する方法です。

どちらが有利になるかは計算してみないとわからないのですが、大事なのは、その選択は原則「事業年度開始前」にしないといけないことになっている点です。

つまり、2年前の売上高が5,000万円以下の会社は、当期中に来期の消費税についてシミュレーションをしたうえで、来期の消費税計算方法を選択しないといけませんので覚えておいて下さいね(当社の顧問先様については当社よりご案内申し上げますのでご安心下さい)。

特に会社を設立したての会社などはご注意下さいね。

今期・来期社長報酬一部損金不算入対策及びシミュレーションの実施

これは正式には、「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与損金不算入制度」といわれるものです。

内容は、社長などの一族(業務主宰役員グループ、ここでは業務主宰役員は社長と仮定)が「90%以上の株式を所有」し、かつ「常務従事役員の過半数を占める」場合(こういった会社を特殊支配同族会社という)に、その業務を主宰する役員給与の「給与所得控除相当額」が損金にならないというものです。

具体的には、年収600万円の場合174万円、年収1,200万円で230万円の給与所得控除額が、会社決算申告上、損金不算入になります。

税率を40%として、単純計算すると、年収600万円の場合で、年間約70万円の増税、年収1,200万円の場合で、年間約90万円の増税となります。
影響は大きいです。

社長報酬一部損金不算入対策

回避策は4つあります。

1.株主構成を変える
10%超の株式を社長一族以外の株主にもってもらうと対象外となるのですが、
形式的なものは租税回避とみなされる恐れがありますので注意が必要です。
また安易な株の移転も経営上好ましくないです。

2.社長以外に多く給料を支払う
当然、実態にそぐわない給料の支給は税務上認められません。

3.社長の給料を一定以内に抑える(平成19年度税制改正を踏まえて)

「社長報酬一部損金不算入制度」については、適用除外規定があります。
それは、社長の給料と法人所得の合計額の直前3年平均額が、
1)1,600万円以下の場合、
2)1,600万円超3,000万円以下で社長の給料が合計額の50%以下の場合です。

4.役員構成を変える ← 1番お勧め!
常務従事役員の半数以上が社長一族以外にすると、今回の規制の対象外となります(判定は事業年度末)。役員2人の場合、1人が一族以外であればOK。
前向きな従業員の役員登用が、節税につながるということです。

また、たとえこの制度に該当してしまう場合でも、事前にどれくらいの納税額になるのか、シミュレーションしておくことが大事です。

消費税納税額予想

決算前には、消費税以外に利益に対して課税される法人税等についても、先ほどの社長報酬損金不算入なども踏まえて納税額を予想しておくことが大事です。

しかし、通常赤字の会社でも消費税の納税が発生することや、納税額自体が結構多額になることなどを考えると、「事前の消費税納税額予想」は特に重要といえるでしょう。
ここで、消費税の原則課税を採用している会社(2年前の売上高が5,000万円を超える会社はすべて原則課税となります)を前提に、簡単な消費税予想の仕方を伝授します。

それは、単純なことなのですが、「税抜経理」を実施することです。

そしてそのやり方

パソコン会計を前提にお話しすると、日々の記帳入力作業は税込みで今までどおり入力してしていただきます。

そしてパソコン会計上で、通常税込み・税抜きをボタン1つで選択できますから、試算表を打ち出すときに、税抜きで印刷してください。
これでOKです。

ちなみに、これは税理士事務所に記帳代行を依頼している場合も同様ですので、税理士事務所の方に、「税抜きの試算表をもってきてね」と依頼されるといいでしょう。

すると、その試算表の貸借対照表において、仮払消費税と仮受消費税という科目が出てきているでしょうから、その差し引き金額を計算して下さい。

おおまかには、その金額が現在の予想消費税額となります。

次回「決算対策、DESをすれば銀行格付アップ!?パート2」と題しましてお伝え致します。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№71


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