決算対策、DESをすれば銀行格付アップ!?パート2
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今回は、「3月決算の会社様、この3項目だけは事前にご確認を!パート1」、「決算対策、DESをすれば銀行格付アップ!?パート2」、「決算書にお化粧をして銀行格付アップ!【決算対策】パート3」と、3回に分けてお伝えして参ります。
もくじ
銀行格付を上げる!
前回のコラムに引き続き、今回と次回においても決算対策情報をお届けします。
今回は、「DESというものを活用して銀行格付を上げる方法」をご紹介します。
まず経営者の皆さん、そもそも「DES」というものをご存知でしょうか?
「DES」つまり、Dept Equity Swap (デット・エクイティ・スワップ)とは、デット(債務)とエクイティ(資本)をスワップ(交換)することを言います。
すなわち、負債に上がっている借入金(債権者にとっては貸付金)を債権者が納得していただけるという前提で、資本金に振り替えるのです。
会計専門用語では、「借入金の現物出資」ということになります。
ちなみにこれによって、損益に影響を与えるということはありません。あくまでバランスシート上だけの出来事ということになります。
非常にメリットが大きい、しかし
この借入金を資本金に振り替えるという「DES」は、これが実現できれば会社にとっては非常にメリットが大きいです。(銀行格付アップのための決算対策として、非常に有効です。)
金利や返済負担が通常伴う「借入金」から、原則返済不要の「資本金」に変わるのですから、当然ですよね。
しかし、そもそも借入金の債権者がこのDESに同意してくれるのか?
というのが気になるところになりますよね。
例えば、債権者を銀行とすれば、銀行から見た場合、貸付金が株式に変わるわけです。
そして、その後の返済や金利がなくなるのです。
これはやはり、銀行は普通同意してくれません。
当たり前といえばそれまでなのですが、一部の上場企業であれば認められることもあるのでそのあたりは何とも納得がいきませんが。
中小企業では社長の借入金を資本金に振り替える
そこで、中小企業でもこのDESをうまく使えないかと考えたところ・・・、思いつきました!
中小企業の債権者の中で、このDESに簡単に応じてくれそうな方を発見しました!
それは・・・、他ならぬあなたです!
そう、中小企業においては経営者からの借入金が会社のバランスシートの負債の欄に載っていませんか?
しかもその借入金は、返済不要の場合が多いですよね。
それであれば、思い切って資本金に振り替えることを考えてみてはいかがでしょうか。
そして、自己資本を増加させて格付を上げましょう。
ただし、資本金の額が増加することにともなって一部の税率が上がることや、資本金が1億円を超えると交際費の損金算入枠が無くなることなどの税務上のデメリットもきちんと抑えてから実行してくださいね。
口頭でもOK!?
実際DESを行う(=資本金が増加する)と上記のデメリットや資本増加にともなう登記費用なども発生して、実行しづらい部分があるのも現実です。
そして、このDESを私が提案している根本の理由に立ち返ると、それは銀行格付アップのためです。
このDESを実行することによって資本金が増強されれば、バランスシート上体力のある会社と銀行は評価してくれる可能性が高いです。
しかしよくよく考えると、実際は何も変わっていません。
単に会計のバランスシート上、借入金を削除して資本金を追加したに過ぎないのです。
ということは、例えばバランスシートに上がっている社長の借入金を、「これは資本金のようなもので、実際今後も私個人に返済してもらうつもりはない。」ということを口頭ででも、銀行の担当者に伝えてみてはいかがでしょうか。
DESまでは行っていないが、実質この借入金は返済不要の資本金であるから、そのように格付上計算をしてほしい、と。
実際金融庁の指導においても、社長の実質固定化された借入金を資本金とみなして取り扱うようにというような指示が各銀行に出されているようです。
次回「決算書にお化粧をして銀行格付アップ!【決算対策】パート3」も引き続き、決算対策としての「格付アップの具体的な方法」についてご紹介させて頂きます。
今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。
メール通信№72
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