決算書にお化粧をして銀行格付アップ!【決算対策】パート3

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、「3月決算の会社様、この3項目だけは事前にご確認を!パート1」「決算対策、DESをすれば銀行格付アップ!?パート2」、「決算書にお化粧をして銀行格付アップ!【決算対策】パート3」と、3回に分けてお伝えして参ります。

決算書にお化粧する!?

さて、前回のコラムに引き続き決算対策としての「銀行格付アップの方法」をお伝えします。

今回は、「決算書にお化粧をすることによって格付を上げる方法」についてです。

決算書にお化粧といっても、貸借対照表に口紅をぬるということではありませんよ(笑)。
私が言う決算書へのお化粧とは、「決算書の表示方法を変える」ということです。

役員退職金の取り扱い

この間、こんなことがありました。

私の友人の経営者から決算対策について相談がありました。
そこで去年の決算書を見せていただくと、本来「特別損失」に計上すべき役員退職金1,500万円が「販売費及び一般管理費」に計上されていました。

「販売費及び一般管理費」に計上しようが「特別損失」に計上しようが、最終利益は変わりません。
もちろん、納税額も変わりません。

ただ一点変わるのは、銀行から見た場合の「格付」です。
その理由を説明する前に、まずは損益計算書の構造を復習しておきますね。

損益計算書を上から見ていくと

損益計算書を上から見ていくと、まず売上高があり、そこから売上原価を差し引いて「売上総利益」があります。
いわゆる粗利(あらり)と言われるものです。

そしてそこから販売費及び一般管理費である人件費や家賃、交際費などを差し引いて「営業利益」が計算されます。

その「営業利益」から営業外損益である支払利息などを差し引いて「経常利益」が求められ、その「経常利益」から特別損益項目を加減算して「税引前当期利益」となります。

このような損益計算書上の構造から、先ほどの「販売費及び一般管理費」に計上された「役員退職金」1,500万円は、その分、営業利益を引き下げることになります。

つまり、役員退職金を「特別損失」に計上せず「販売費及び一般管理費」に計上したことによって、1,500万円分「営業利益」が低く計上されることになったのです(最終利益は変わりません)。

収入はなるべく上に、費用はなるべく下に

格付審査上では、まず「売上総利益」がどれくらいあるか、そして「営業利益」はどうか、次には「経常利益」と見てきます。

ということは、費用の計上の仕方としては、なるべく「特別損失」に、それがだめなら次は「営業外損失」に、それでもだめなら「販売費及び一般管理費」、「売上原価」となります。

つまり損益計算書上でいうと、費用はなるべく下のほうに計上すると格付審査上は好ましい、と言えます。

逆に、収入は損益計算書上なるべく上に表示するのが良い、ということになります。

まとめると、決算書のお化粧の仕方として「収入はなるべく上に、費用はなるべく下に」計上すると、「営業利益」や「経常利益」が上がりますので、格付アップの可能性があるということです。

今日このコラムを読んでいただいた中小企業経営者の方や経理担当者の方は、決算書の最終段階のときに、ぜひ「販売費及び一般管理」に計上されている費用の中で「営業外損失」に計上できるものはないか、「特別損失」に計上できるものはないか、ということを検討してみてください。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№ 73


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