輸出代行事業者を利用した場合の消費税の還付

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


消費税における輸出免税

最近では、法人でも個人事業でもアマゾン等を活用して、随分簡単に輸出取引
開始できるようになりましたが、気になるのは消費税取引です。

まず、事業者が国内で商品などを販売する場合には、原則として消費税がかかります。

一方で、販売が輸出取引に当たる場合には、消費税が免除されます(消費税法では0%課税売上)となります。

輸出免税の適用を受けるためには、その取引が輸出取引等である証明が必要となります。

輸出取引等の区分に応じて輸出許可書、税関長の証明書または輸出の事実を記載した帳簿や書類を整理し、納税地等に7年間保存する必要があります。

輸出免税をされる事業者にとって朗報なことは、輸出取引は消費税が免除されますが、それに対応する課税仕入れには消費税等の額が含まれています。

したがって、輸出の場合には、課税仕入れに含まれる消費税等の額は、消費税申告の際に仕入税額の控除をすることができます。

輸出代行業者に依頼した場合

消費税輸出免税制度の適用者は、その適用要件として輸出したことを証する所定の書類を保存することとされています。

しかし、実務上は輸出代行業者に輸出手続きを依頼している場合が多いと思われます。

この場合、名義貸しに係る取引が多く、その輸出代行業者を輸出申告者として掲名するものの、輸出申告書の原本は実際に輸出取引を行った者(実際の輸出者)が保管しています。

このように輸出申告書に輸出者として掲名された者が形式的な輸出者であり、実際の輸出者が別にいる場合には、消費税法上は実際の輸出者を輸出免税の適用者として取り扱うことができるのでしょうか?

実際の輸出者が輸出免税の適用を受けるための書類

輸出代行業者に輸出手続きを依頼した場合、実際の輸出者及び輸出代行業者は、次の措置を講ずることを条件に、輸出許可書の名義にかかわらず、実際の輸出者が輸出免税の適用を受けることができます。

【実際の輸出者が講ずる措置】
実際の輸出者は、輸出申告書等の原本を保存するとともに、名義貸しに係る事業者に対して輸出免税制度の適用がない旨を連絡するための消費税輸出免税不適用連絡一覧表※などの書類を交付します。
◇消費税輸出免税不適用連絡一覧表
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/11/img/ichiran.gif

なお、実際の輸出者は、名義貸しに係る事業者に対して、名義貸しに係る輸出取引にあっては、その事業者の経理処理の如何にかかわらず、税法上、売上げ及び仕入れとして認識されないものであることを指導することとします。

なお、名義貸しに係る手数料は、実際の輸出者に対する課税資産の譲渡等に係る対価であり、輸出免税の対象とすることはできないことに留意してください。

【名義貸しに係る事業者が講ずる措置】
名義貸しに係る輸出代行業者は、確定申告書の提出時に所轄税務署に対して、実際の輸出者から交付を受けた上記書類の写しを提出します。

ただし、その確定申告書等の提出に係る課税期間において全く輸出免税制度の適用を受けていない場合には、この限りではありません。

昨年、輸出取引に係る消費税還付申告につき国税庁の対応が公表され、必要な場合には確認書類の提出や実地調査が実施されるそうです。

後の税務調査に備えて、書類の保存は重要です。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№797


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