社長給料損金不算入の増税回避策

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


さて今回は、本日発売の『週刊ダイヤモンド11/4号 中小企業の悩み全解消』に執筆した内容で、「社長給料損金不算入の増税回避策」をお届けします。
http://www.money-c.com/masukomi/diamond/diamond2006.11.4.htm

増税額92万円

税の専門家である私もびっくり仰天。
中小企業経営者にとって、増税の可能性大である税制改正が行われました!

もうご存知の方も多いかもしれませんが、「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与損金不算入制度(社長給料損金不算入制度)」がそれです。

この制度に該当すると、業務主宰役員(例、社長)給料の一部が費用処理できなくなります。

それではどれくらい増税になるのかというと、例えば1,000万円の利益を昨年出した会社が今年も同じ利益であると仮定して、その会社の社長給料が年間1,200万円だった場合、増税額はなんと約92万円にもなります。
去年と同じ利益なのに、払う税金は92万円も増えてしまいます。

この税制改正は現在会社経営をされている方に影響があるのはもちろんのこと、これから会社を起こそうかとお考えの起業予定者にも影響があります。

該当要件

この増税に該当するかどうかは、まず社長一族グループが「株式等を90%以上所有」し、かつ「常務従事役員の過半数を占める」かどうかです。(実際これは多くの中小企業が該当します。)

そして残念にも上記2つの要件を満たしてしまった場合には、社長給料の「給与所得控除相当額」が税務上費用にならなくなってしまいます。
ちなみにこの判定は、各判定会社の事業年度末で行います。

回避の仕方

それでは、この増税に対する回避策はあるのでしょうか?
現在公表されている法律や政令などから、回避策を考えてみました。

1.株主構成を変える
具体的には、10%超の株式を社長一族グループ以外の株主に所有してもらう。
取引先との株の持ち合い等も考えられますが、これについては、既に規制が設けられましたので安易に実行されると租税回避と判断される可能性が高いので、お勧めできません。。


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2.役員構成を変える
常務従事役員の半数以上を社長一族グループ以外にする。
例えば役員2人の場合、1人をがんばっている従業員の役員登用とすれば、今回の増税対象外となります。


3.業務主宰役員(社長)以外に多く給料を支払う
今回の増税対象となるのは「業務主宰役員(社長)給料」となっていますので、一般的には社長以外の給料を多くしてその分社長給料を下げると、増税額の軽減に役立つかもしれません。
ただし実体にそぐわない給料の支給はご法度ですよ。


4.業務主宰役員(社長)給料を一定以内に抑える
今回の税制改正には適用除外の規定も設けられています。
それは、業務主宰役員給与と法人所得の合計額の直前3年平均額が、
1)800万円以下の場合、
2)800万円超3,000万円以下で業務主宰役員給与額が50%以下の場合です。


5.業務主宰役員(社長)給料を他の経費に置き換える
例えば社長給料を保険料に置き換えてみる。
ただしこの場合は、出口戦略も事前にきちんと検討することが必要です。

お勧めは、社員の役員登用

回避策を5つほど紹介しましたが、この中で特に私がお勧めなのは2番目です。

もともとこの税制改正が行われた背景には、会社法創設によって多くの節税のためだけの会社が設立されるのではないかという税務署の危機感がありました。
つまり、会社法によって会社が作りやすくなった分、節税だけを狙った「会社か個人かわからないような会社」を封じ込めるためでもあるのです。

ということは逆に、身内以外の従業員を役員登用して本来の会社組織らしく振舞えば、増税を回避できるようにもなっているのです。
今後の皆さんが経営する会社の発展のためにも、2番目の対策はお勧めです。

ちなみにこの制度は、平成18年4月1日以後開始事業年度より適用となっています。例えば12月決算の会社であれば、来期から対象となるということです。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

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『週刊ダイヤモンド11/4号 中小企業の悩み全解消』に14P記事執筆
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