消費税も忘れずに【6-3-3で12個の決算対策】パート6

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


前回「良い節税とは?【6-3-3で12個の決算対策】パート5」

今回は、「6-3-3で12個の決算対策」のうち5、6番目の項目である「消費税納税予測」と「事業承継対策」について解説をしていきます。

消費税納税予測

経営者としては、決算3ケ月前といわず毎月把握しておいてほしいのが、現在の消費税負担額です。

常に現在の消費税負担額がいくらなのかというのを把握しようとすると、原則課税の場合は「税抜経理」が必要となります。
税抜経理とは、売上や経費等がすべて税抜で表示されるということです。

そして税抜経理を採用すると、毎月の試算表(貸借対照表)上に「仮受消費税」及び「仮払消費税」という科目がでてきます。
仮受消費税とは、売り上げたときに預った消費税のことです。
仮払消費税とは、経費等を支出したときに支払った消費税のことです。
そして仮払消費税から仮受消費税を引いた差額が、現在の消費税負担額です。

ちなみに税抜経理というのは、パソコン会計(又は税理士事務所に記帳依頼)であると簡単に実施することが出来ます。

また、簡易課税の場合は「税込経理」でいいのですが、自社の売上内容がどの業種区分になるのかを事前に把握しておいて下さい。
そして、いつでも売上高から現在の消費税負担額を計算できるようにしておいて下さい(簡易課税の計算方法等詳細をお知りになりたい方は、別途お問い合わせ下さい)。

出来れば、預金の移し変えも

私がなぜ消費税負担額を常に経営者の方に把握しておいてほしいと思うかというと、会社の通帳を見たときに勘違いをしてしまう経営者の方が多いからです。

例えば、通帳の残高が1,000万円あると、それを見た経営者の方がその1,000万円をすべて使ってもいいと考えてしまうといったケースです。
そこでお勧めなのが、通常翌月半ばには出来上がる試算表上で「先月の消費税負担額」を計算し、即、その消費税負担額を別の消費税通帳に移し変えるということです。

出来れば、消費税以外にもその月の儲け(利益)に通常約40%の税率をかけた「法人税予想負担額」も移し変えておくといいですね。

そしてこの税金通帳にあるお金は、事業経営では使ってはいけないとしておくといいですね。

人件費で赤字の会社は要注意

また、消費税で注意しておいてほしいのは、過大な人件費で赤字になっている会社です。
どうしても経営者の意識として、赤字であると税金に関心がいかなくなります。
それよりも、銀行対策や資金繰りに関心が集中するからでしょう。

赤字であると、儲けに対する税金である法人税についてはそれほど気にする必要はないのですが、消費税は違います。
特に人件費が多くて赤字になっている会社は、要注意です。

原則課税を前提にすると、人件費の支払いがいくら多くても、仮払消費税は発生しません。
ということは、人件費が多くて赤字になっている会社では、思わぬ多額の消費税負担が発生することがあります。

経営者の方は覚えておいて下さいね。

事業承継対策

決算3ケ月前にぜひ検討して頂きたい最後の項目としては、「事業承継対策=自社の株価計算」です。

中小企業における事業承継で特に大きな問題となるのは、自社株価の高騰による相続税納税資金不足です。
そのためには、現経営者が生前の間に、株式贈与などの対策をとっておくことが必要となります。

株式贈与(現経営者→次期経営者候補)の方法としては、1つは「110万円の贈与税非課税枠」を使う方法です。

そしてもう1つは、「相続時精算課税制度」を使う方法です。
これは、原則65歳以上の親から20歳以上の子どもに対する贈与のうち2,500万円までであれば、一旦贈与税を非課税にしましょうという制度です(平成19年度税制改正により、一定の条件のもと3,000万円に非課税枠が拡大されました)。

ただし、親が亡くなったときの相続税の計算では、その贈与がなかったものとして計算され、その株式の相続税法上の評価額は、「贈与があったときの価額」となります。
つまり、今後株価が高騰していくことがわかっている場合は、この「相続時精算課税制度」というのは有利になります。

以上長々となりましたが、決算3ケ月前にやるべき6項目、ご理解頂けたでしょうか。

次回は、決算1ケ月前にやるべき3項目についてお届けします。お楽しみに。


参考【6-3-3で12個の決算対策】

<決算3ケ月前にやるべきこと>
1.決算利益予測・法人税等予測
2.来期事業計画の策定
3.赤字対策(銀行格付対策)
4.黒字対策(良い節税対策)
5.消費税納税予測
6.事業承継対策

<決算1ケ月前にやるべきこと>
1.来期消費税計算方法の選択
2.社長報酬一部損金不算入対策
3.来期管理会計の導入準備

<決算時・後にやるべきこと>
1.来期役員報酬の決定
2.チェックリストの添付
3.剰余金の処分

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

次回「決算1ケ月前のToDo【6-3-3で12個の決算対策】パート7」

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