役員報酬を多額に設定する場合はここに注意!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


役員報酬の未払いには注意!

最近の税制改正により、役員報酬は原則毎月同額でなければ、経費として認められなくなったことは、既にご存知のことと思います。このコラムでも何回かご紹介してきました。

決算終了後、3ヶ月以内に役員報酬を改定したら、1年間は原則変更することができません。

と、これまではそこで話が終わっていたことが多かったと思います。
最近、それに加えて、”役員報酬を実際に支払っているか”ということも問題に挙がってきています。

資金繰りの回る範囲内で役員報酬を設定されている場合には、特に問題はないのですが、節税も兼ねて少し多額に役員報酬を設定されている場合には、注意が必要です。
数ヶ月以上も役員報酬を未払いのままでおいておくと、そもそも”毎月同額”という前提が崩れかねません。形式だけの役員報酬ということになってしまいます。

そういう指摘を避けるためには、まず役員報酬はできる限り、毎月決まった時期に定額を支払うことが重要です。
資金繰りの都合で、その後会社が再び借り入れることは問題ありませんので、まずは毎月きっちり支払うことを心掛けて下さい。

役員報酬が多額の場合の源泉所得税納付

役員報酬を多額に設定している時には、役員報酬そのものの支払いもそうですが、源泉所得税の負担も大きなものとなります。

中小企業では、従業員数10人未満の場合に適用できる納期の特例を受けている会社も多いと思いますが、この場合、半年分の源泉所得税をいっぺんに支払うことになるため、7/10と1/10の支払時の資金負担がかなり大きくなってしまいます。

この場合、万が一納付期限に遅れるようなことがあれば、延滞税や加算税についても多額になってしまう可能性があります。
こういった場合には、従業員数10人未満であっても、毎月納付に切り替えた方がスムーズにいく場合もあります。

毎月納付にすれば、支払も毎月平準化されますし、万が一納付期限に遅れた場合の延滞税や加算税も少なくて済みます。

住民税は1年遅れ

役員報酬を大幅に増やした場合、その翌年になってびっくりすることがあります。それは住民税です。

住民税は所得税と違い、1年遅れで課税されます。
例えば、現在課税されている住民税は、平成19年分の所得に対して計算された住民税です。
そのため、そのときにもらっている役員報酬と住民税が不釣り合いになることがあります。

増額した役員報酬をその次の年も維持していればいいのですが、増額した次の年に役員報酬をまた下げた場合には、役員報酬は少なくなったのに、住民税は高い金額で課税される、という場合があります。

役員報酬を増額される際には、少し頭の隅にでも置いて頂ければ、と思います。

役員報酬を変更したら、月額変更届

最後に、社会保険の手続きについてです。

役員報酬を増額した場合には、社会保険料も上がりますので、月額変更届の提出が必要です。
ただし、これは役員報酬が増額になった月に提出するのではなく、その月から3ヶ月経過した時点で提出することになりますので、忘れずに行って下さい。

つまり、役員報酬が上がっても、3ヶ月間は前の低い社会保険料のまま、ということになります。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№88


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