もし取引先が倒産したら

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


取引先が万が一の状態になった場合の会計・税務処理

最近、倒産件数が大幅に増加しています。自社の取引先が倒産しないに越したことはありませんが、もし倒産(もしくは倒産に近い状態)になれば、会計・税務上はどのような処理になるでしょうか。

まず、取引先が民事再生法、会社更正法、又は破産の申し立て等をした場合、この段階では、まだ貸倒損失を計上することはできません。その代わり、貸倒引当金を計上することができます。

貸倒引当金というのは、債権の貸し倒れに備えて、その一定率をあらかじめ経費計上して引き当てておく制度で、税務上も一定限度額までの経費計上を認めています。

この場合には、債権の50%を貸倒引当金として経費計上することができます。

上記の取引先の場合、最終的に貸倒処理できるのは、民事再生法や会社更生法等で切り捨てられる金額が確定したときです。

この場合には、債権の全額を貸倒処理することができます。

申し立て段階で債権の50%について、貸倒引当金を計上していた場合には、貸倒引当金を戻し入れた上で貸倒損失を計上しますので、結果的には残りの50%が実質的な経費になります。

このとき、その債権が売上債権であれば、消費税の計算において、その売上分の消費税を貸倒れに係る消費税として控除することができます。

ただし、免税事業者であった期間中の売上債権や、貸倒れた事業年度が免税事業者である場合には控除できません。

法的整理でない場合には

上記のような法的整理の場合には、判断がしやすいのですが、いわゆる夜逃げのような状態のときは、どの時点でどのように処理すればいいでしょうか。

相手の資産状況や支払能力等から考えて、債権の全額が回収できないことが明らかである場合には、その事業年度で損失処理することができますが、この場合は、「明らかである」ことが分かる書類を用意しておかなければなりません。

また、相手の債務超過が相当期間続いていて、回収が困難である場合には、内容証明等で債権放棄することで、損失処理することができます。

この相当期間というのは、一般的には3~5年程度と言われていますが、ケースバイケースで変わってきますので、一概に判断することはできません。

貸倒損失の計上が時期尚早と判断された場合には、その貸倒損失は損金不算入となり課税対象とされてしまいますので、注意が必要です。

ただし、継続的に取引していた取引先については、取引停止後1年以上を経過していれば、1円を残して損失処理することも認められています。この処理ができるのは継続取引していた売掛債権のみです。スポット取引の売掛債権や貸付債権については、適用できません。

中小企業倒産防止共済

取引先の貸倒れに備えるため、中小企業倒産防止共済に加入しておくのも1つです。倒産防止共済は、一定の掛金を毎月支払っておけば、取引先が倒産等した場合に、掛金総額の10倍(最高3,200万円)までの融資が受けられる制度です。

掛金は全額経費になりますので、節税にもなります。任意解約も可能で、40ヶ月以上掛けていれば、解約しても掛金は全額戻ってきます。

ただし、夜逃げ等の場合には対象になりません(現在、対象となる要件を緩和する案が議論されているようです)。

帝国データバンクの活用

弊社は帝国データバンクに加入しておりますので、弊社顧問先の皆様で自社の取引先について何か情報がほしい、という場合は、弊社までご連絡下さい。

弊社が可能な範囲内で、お調べすることができます。

このお話が少しでも経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№126


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