消費税インボイス方式とは?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、あまり耳慣れない言葉である「消費税インボイス方式」について簡単にお話します。

新聞記事によると…

6/22付の日本経済新聞によると、「菅直人首相が消費税率引き上げまでに2~3年程度かかると述べたのは、低所得者ほど相対的に負担が増す逆進性を緩和するための制度整備が必要だからだ。首相は具体策として、税と社会保障の共通番号やインボイス(送り状)といった仕組みに触れた」と記載されています。

また、「軽減税率にはインボイスがあった方が制度導入が円滑に進むと財務省などはみている」とのこと。

複数税率まではわかりますが、インボイスとは一体どんなものでしょうか?

インボイス方式とは?

我が国における消費税の仕入税額控除は、「請求書等保存方式」を採用しています。
これは、帳簿の保存に加え、取引の相手方(第三者)が発行した請求書等という客観的な証拠書類の保存を税額控除の要件とするものです。

一方「インボイス方式」とは、仕入先が発行する書類に仕入価格に含まれる消費税額を明記して、税額控除を行う経理手続きのことです。請求書等の発行に加えて別途インボイスを発行する方法と、税額を明記した領収書等の発行をもってインボイスとする方法があるようです。このインボイスに記載されている税額を集計して仕入税額控除とします。

ちなみにインボイスとは、適用税率や税額など法定されている事項が記載された書類のことです。

インボイス方式は、フランス・イギリス・ドイツなど複数税率を採用している国で導入されています。これらの国では、免税事業者からの仕入について、インボイスに税額の記載がないため、仕入税額控除できないとされています。我が国では、免税事業者からの仕入れも仕入税額控除の対象となりますので、ここが大きく異なる点です。

インボイス方式に反対する理由

近畿税理士会が公表(H22.3/17)している「平成23年税制改正に関する意見書」のなかにインボイス方式に関する意見があります。

「インボイス方式の導入に反対する」とされており、その理由は次の通りとなっています。

①消費税が付加価値税であること(インボイスがないため仕入税額控除ができないのは、消費税の本質論から見て妥当でない)
②事業者の事務負担が増大すること(インボイスを別途集計する作業が増える、中小企業が新たなコストを負うことができるのか?)
③新たな租税回避がかえって増加する可能性があること
④免税事業者が取引から排除されるおそれがあること

また、「税制を一層複雑化させる複数税率の導入には、以下の理由により反対である」との意見もあります。

①事業者の事務負担が増大すること
②複数税率を悪用した意図的な租税回避のおそれがあること
③還付申告者への対応が困難であること
④標準税率の引上げの可能性があること

個人的には、やはり事務負担の増加が気になります。複数税率の導入もセットとなると、複雑すぎるような気がします。

今後、消費税増税議論が盛んになることは間違いありません。
参議院選挙では、消費税議論は避けて通れない要点となることでしょう。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№187


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