実は奥が深い消費税の仕組み

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


まずは、現行の消費税を把握する

最近、消費税の増税が話題になっています。今すぐ増税、ということはなさそうですが、近い将来改正になる可能性は高そうです。複数税率、インボイスなど、さらに複雑な制度になりかねない項目が上がっています。

もちろん、将来的にどうなるかは、現段階で全くの白紙です。とりあえず、今の段階では、現行の消費税の仕組みをしっかりと押さえておくことが大事だと思います。

消費税は一見簡単そうな税金に見えますが、実はけっこう奥が深いです。選択の仕方で大きく税額が変わることもあります。

それが今後の改正で、経営者にとってさらに重要性の高い税金になっていきます。
そこで今回は復習の意味で、消費税の基本的な仕組みをおさらいしておきたいと思います。

免税事業者の仕組み

事業者の中には、消費税を消費者から預かっていても、納税する必要のない免税事業者があります。それは、原則以下のような場合です。

●個人事業者の設立2年内の事業年度
●資本金1,000万円未満の法人の設立2年内の事業年度
●2期前の課税売上が1,000万円以下の個人事業者・法人

設立2年間の特例を除けば、課税売上1,000万円というのが基準になります。ただし、課税売上が1,000万円を割ったとしても、免税事業者になるのはその2年後になります。このあたりが少し間違いやすいところでしょうか。

つまり、2年前の課税売上が1,000万円以下であれば、当期の課税売上がたとえ1億円あろうと、消費税は免税だということです。

課税事業者”選択”の難しさ

免税事業者というのは、決していいことばかりではありません。消費税を納めなくていいということは、裏を返せば、消費税を返してもらう権利もない、ということになります。

いろいろと設備投資などをして、多額の消費税を支払っているときには、消費税の還付を受けられることがあります。こういう場合には、免税事業者でもあえて課税事業者を「選択」して還付を受ける方がいいときもあります。この場合、還付を受けたい事業年度が始まるまでに届出書の提出が必要です。

尚、この課税事業者の選択については、今年の4月から改正が行われています。

これまでは、課税事業者を選択すると、2年間は免税事業者に戻れないというのが原則でした。

それが今回の改正で、課税事業者を選択した課税期間から原則2期以内に1組100万円以上の固定資産(調整対象固定資産)を購入した場合、その購入事業年度から原則3年間は原則課税が強制されることになりました。

もともと課税事業者である場合や既に簡易課税を継続している場合などは問題ありませんが、課税事業者を選択して還付を受けようとする場合には、投資時期と投資金額が重要になってきます。

簡易課税選択にも改正の影響あり

消費税でもう1つ重要なのは、簡易課税の選択です。

簡易課税は、売上と業種から消費税が計算できる簡易な計算方法で、2期前の課税売上が5,000万円以下の場合にのみ、事前の届出で選択できる制度です。
これについても「後出しジャンケン」は認められませんので、事業年度開始までに届出書の提出が必要になります。

尚、簡易課税についても、上記の改正が関係してきますので、要注意です。

「益税問題」の行方

免税事業者と簡易課税というのは、その仕組み上、本来事業者が納税しなければならない消費税が、事業者の懐に入っていることになりますので、「益税問題」と呼ばれます。消費税増税に伴って、このあたりの改正が行われることも考えられます。当面は改正の行方を注視しておく必要がありそうです。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№188


Copyright all rights reserved By マネーコンシェルジュ税理士法人

その他の最新税務関連ニュース

大阪税理士コラムのカテゴリー一覧

税務情報を「メール通信」「FAX通信」「冊子」でお届け。

中小企業の経営者及び総務経理担当者・相続関係者向けに、「知って得する」「知らないと損する」税務情報を、メルマガ、FAX、冊子の3種類の媒体でお届け。
配信日時などの詳細は下記をクリックしてご確認下さい。
会計事務所の方はご遠慮頂いております。

  • メール通信 ご登録&ご案内
  • FAX通信 ご登録&ご案内
  • 冊子媒体 ご登録&ご案内

今なら初回面談無料!
お気軽にお問い合せください。

0120-516-264受付時間 9:00~17:30(土日祝休)

メールでのお問い合せ

ページトップ