災害による義援金と税務の取扱い
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
災害義援金と税務の取扱い
3/11に発生しました地震・津波等による被害は甚大なるものであり、被災者の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
関西にいる私たちをはじめ、直接被災されなかった人におかれましても、日本人として深く考えさせられます。
そこで、災害義援金と税務の取扱いについて、Q&Aにまとめてみます。(このコラムでは税務の取り扱いを正確にお伝えすることを主題としていますので、多少の表現の行き違いについてはご了承ください。)
Q:当社は、地震により工場が全壊して通常の営業ができなくなってしまった取引先に対して、今回災害見舞金を出しましたが、交際費になるのでしょうか
A:法人が、被災前の取引関係の維持、回復を目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間)内に、その災害を受けた取引先に対して行った災害見舞金の支出または事業用資産の供与もしくは役務の提供に要した費用は、交際費等から除かれています。会計上、雑費などで処理します。
Q:同業者組合が組合員である各企業から義援金を募り、これを日本赤十字社に寄付することとしました。この場合、各企業が支出した義援金の法人税および消費税の取扱いはどのようにしたらよいですか?
A:(法人税)
日本赤十字社に対する寄付金は「国等に対する寄付金」として、その支出した事業年度において、その全額が損金の額に算入され、金額の上限もありません。
この場合、各企業は、その同業者団体から義援金に係る預り証(企業名および金額等が記載されたもの)または振込金受取書等を受け取り、保存しておく必要があります。
(消費税)
消費税の課税対象外となります。
※これらの取り扱いは、企業が直接日本赤十字社に寄付した場合も同様です。また寄付については、実際に支出した事業年度での損金となります。
※ちなみに、日本赤十字社に対する寄付については、郵便振替以外にも、銀行振込やカード決済等が可能です。
詳細はこちらをご覧下さい。
【日本赤十字社|東日本大震災義援金を受付けています<受付期間再延長:平成26年3月31日まで>】
http://www.jrc.or.jp/contribution/l3/Vcms3_00002069.html
Q:上記の全額損金となる「国等に対する寄付金」とは他にどのようなものがありますか。
A:全額損金となる寄付金については、「国等に対する寄付金」と「指定寄付金」があり、それらをまとめたものが以下になります。
「国等に対する寄附金」には次の①、②、③又は⑤が、「指定寄附金」には次の④が該当します。
①国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等
②日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞
・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの
③社会福祉法人中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための基金」として直接寄附した義援金等
④社会福祉法人中央共同募金会の「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」(平23.3.15財務省告示第84号)として直接寄附した義援金等
⑤募金団体を経由する国等に対する寄附金
Q:法人が救援物資として「食料、飲料水、医薬品等」を購入し、○○県に寄付しました。この物資に係る費用の法人税および消費税はどのようにしたらよいですか?
A:(法人税)
国等に対する寄付金に該当し、その物資を寄付した事業年度において、物資購入費用の全額が損金の額に算入されます。
(消費税)
救援物資のような資産を購入して寄付する場合において、その購入に係る取引が消費税の課税対象になるときは課税仕入れに該当します。
Q:衣料品卸売業者が、自社の商品を救援物資として○○県に寄付しました。
この物資に係る費用の法人税および消費税はどのようにしたらよいですか?
A:(法人税・消費税)
国等に対する寄付金に該当し、その物資を寄付した事業年度において、損金の額に算入されます。
寄付時の仕訳
寄付金 100万円/売上 100万
なお、寄付金額の価額は、その商品の時価になり、売上げは消費税法上、課税対象外となります。
Q:個人的に日本赤十字社に義援金をする予定ですが、寄付金控除の対象と
なりますか?
A:寄付金控除の適用を受けようとする場合には、その寄付の相手先が寄付金控除の適用対象となっているかどうか、ご確認ください。
今回の地震による日本赤十字社や新聞社等を通じて支出する義援金は、国等に対する特定寄付金に該当し、寄付金控除の対象となります。
寄付金控除の適用については、確定申告書に領収書等を添付することが要件となっていますので、忘れずに領収書等をもらってください。
寄付金全般については、国税庁ホームページもご参照ください。
この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№225
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