費用なのに資産計上!?繰延資産

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


費用の繰り述べである「繰延資産」

法人税法では、会社が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの(資産の取得に要した金額、前払費用を除きます)は一時の費用とせず「繰延資産」として資産計上し、その支出の効果の及ぶ期間で償却することになっています。

なお、繰延資産については、2つに区分されています。
・随時償却できる繰延資産
・償却限度額が定められている繰延資産

随時償却できる繰延資産

こちらは会計上の繰延資産と呼ばれ、①創立費、②開業費、③開発費、④株式交付費、⑤社債発行費の5つがあります。償却限度額はその繰延資産の額(すでに損金に算入された金額がある場合にはそれを除いた金額)とされています。随時、費用化することができます。

つまり、赤字の場合には償却せず、黒字になった場合に全額を償却することが可能です。

ただし、融資の面からは、早期に費用化するか、または規則的に償却するほうがプラス評価となります。

償却限度額が定められている繰延資産

こちらは税法上の繰延資産と呼ばれるもので次のようなものがあり、税法で定められている償却期間で均等償却するのが原則です。会計上の科目としては「長期前払費用」等として資産計上します。

①公共的施設等の負担金
一般公衆も利用できる商店街のアーケード、日よけなど 

②資産を賃借するための権利金
建物を賃借するための権利金等

③役務の提供を受けるための権利金
ノウハウ設定の頭金等

④広告宣伝用資産を贈与した費用
看板、ネオン、どん帳等の贈与費用等

⑤その他自己が便益を受けるための費用
同業者団体等の加入金等

例えば、事務所を賃借するにあたって保証金という名目で100万円支払ったとします。
契約書で保証金100万円のうち4割返金するとなっている場合、100万円×40%=40万円を「保証金」として資産計上します。

残り100万円×60%=60万円は返ってきませんので、「長期前払費用」として資産計上し、原則5年で均等償却していきます。償却限度額を超えて償却した場合、その超過額は損金にはなりません。

繰延資産についても他の減価償却資産と同様、その償却限度額以下の金額を償却費として損金経理した場合には、その額の損金算入が認められます。

また、支出額が20万円未満の少額な繰延資産は一時の費用とすることができます。
中小企業の場合、30万円未満の少額減価償却の特例について繰延資産は対象外となりますので、ご注意ください。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№290


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