消費税原則課税の場合の帳簿の記載内容

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


帳簿の作成及び保存

消費税の計算方法には、原則課税と簡易課税とがあります。

原則課税とは、実際に売上に伴って預かった消費税から、仕入れや経費等に伴って支払った消費税を差し引いた残額を納付する方法です。
一方の簡易課税とは、実際に支払った消費税に関係なく、売上に伴って預かった消費税に業種に応じた「みなし仕入れ率」を乗じたものを、仕入れ等に伴って支払った消費税とみなして、納付する方法です。

つまり、簡易課税の方は「売上に伴って預かった消費税」のみが重要となりますが、原則課税の方は、「仕入れ等に伴って支払った消費税」も重要となります。

したがって、簡易課税よりも原則課税のほうがルールが厳しくなっています。
消費税法において、消費税の課税事業者は、帳簿を備えつけて必要事項を「整然と、かつ、明瞭に」記載するよう定められています。

さらに、原則課税の課税事業者が仕入税額控除を受けようとする場合には、その課税期間の仕入税額控除に係る「帳簿及び請求書等」を保存しなければなりません。

〔帳簿の記載事項〕
1.資産の譲渡等に関する事項
2.売上対価の返還等に関する事項
3.課税仕入れに関する事項
4.保税地域から引き取った課税貨物に関する事項
5.仕入対価の返還等に関する事項
6.消費税額の還付を受ける課税貨物に関する事項
7.貸倒れに関する事項

帳簿には、取引の年月日、取引内容、取引金額、取引相手の氏名又は名称(小売業等は省略可)を記載します。
また、「帳簿及び請求書等」については、原則7年間保存することとなっています。

では、実務において帳簿(パソコン会計における現金出納帳、預金出納帳、振替伝票など)の摘要欄にどのように記載すれば足りるかいくつかお知らせします。

請求書等の記載内容と帳簿の記載内容の対応

例えば、鮮魚店の場合、請求書等に「あじ○匹、いわし○匹、・・・」というような記載があっても、帳簿には商品の一般的な総称「魚類」でまとめて記載するなど、申告時に請求書等を個々に確認することなく仕入税額控除を計算できる程度でOKです。

ただし、課税商品と非課税商品がある場合には区分して記載する必要があります。(司法書士への報酬支払いなどでは混在していることが多いです。)

一の取引で複数の商品を購入した場合

例えば、建設会社が文房具と飲料を一回の取引で購入した場合、「文房具ほか」と記載しても大丈夫です。

ただし、課税商品と非課税商品がある場合には区分して記載する必要があります。(郵便局で切手と印紙を同時に購入した場合などが該当します。)

一定期間分の取引のまとめ記載

例えば、同一の商品(一般的な総称による区分が同一となるもの)を一定期間内に複数回購入した場合で、その一定期間分の請求書等に1回ごとの取引の明細が記載又は添付されているときには、課税仕入れの年月日をその一定期間とし、取引金額もその請求書等の合計額を記載することで大丈夫です。なお、一定期間とは「○月分」という記載でもいいです。

ただし、これも同様に課税商品と非課税商品がある場合には区分して記載する必要があります。

請求書等の交付が受けられない場合

取引の実態を踏まえ、税込みの支払額が30,000万円未満の場合には、請求書等の保存は要せず、法定事項を記載した帳簿の保存のみでよいこととなっています。
バス代、電車代、自動販売機を利用した飲料などは請求書も領収書もありませんので、実務上「経費精算書」などで管理されることをお勧めします。

また、レアケースですが、税込みの支払額が30,000円以上であっても請求書等の交付を受けなかったことにつき「やむを得ない理由」がある場合には、請求書等の保存がなくても、仕入税額控除ができることとなっています。ただし、帳簿に「やむを得ない理由及び相手方の住所又は所在地」を記載する必要があります。

カード会社からの請求書

法人カードを活用している場合、カード会社から送付されるご利用明細書」等は、課税仕入れの相手方から交付を受けたものではありませんので、消費税法に規定する請求書等には該当しません。

この場合、通常クレジットカードを利用した時に、課税仕入れの相手方からもらう「ご利用明細」等を、カード会社から送付されてくる「ご利用明細書」等に添付して保存するようにしてください。

税務調査対策としてだけでなく、帳簿を見るだけで過去の取引内容を把握することができ、経営に役立ちます。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№337


Copyright all rights reserved By マネーコンシェルジュ税理士法人

その他の最新税務関連ニュース

大阪税理士コラムのカテゴリー一覧

税務情報を「メール通信」「FAX通信」「冊子」でお届け。

中小企業の経営者及び総務経理担当者・相続関係者向けに、「知って得する」「知らないと損する」税務情報を、メルマガ、FAX、冊子の3種類の媒体でお届け。
配信日時などの詳細は下記をクリックしてご確認下さい。
会計事務所の方はご遠慮頂いております。

  • メール通信 ご登録&ご案内
  • FAX通信 ご登録&ご案内
  • 冊子媒体 ご登録&ご案内

今なら初回面談無料!
お気軽にお問い合せください。

0120-516-264受付時間 9:00~17:30(土日祝休)

メールでのお問い合せ

ページトップ