売上が10%減少したとき、利益はいくら減少するのか?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


損益分岐点売上高とは?

損益分岐点売上高とは、売上高と費用がイーブンとなり、「損益トントン」となる売上高のことです。
この損益分岐売上高を超えて、初めて「利益=儲け」が出ます。

御社の損益分岐点売上高をご存知ですか?

経費は変動費と固定費に区分

では、どのようにして求めるかというと、まず費用を変動費と固定費に分けます。

変動費とは、売上高に比例して発生する費用のことで、売上原価、運賃、販売手数料等があります。
固定費とは、売上高に関係なく発生する費用のことで、人件費、地代家賃、減価償却費等があります。

中小企業の場合、金額に重要性がないなら、おおまかに売上原価、外注費、運賃、販売手数料は変動費、あとは固定費としてもいいかもしれません。

次に「限界利益率」を求めます。
限界利益とは、おおまかに売上総利益のことで、通称「粗利」と呼ばれています。正確には、売上高-変動費=限界利益となり、限界利益÷売上高が限界利益率となります。

粗利70%の会社の場合なら、ざっくり限界利益率は70%でもいいでしょう。
次に損益分岐点売上高ですが、固定費÷限界利益率で求めます。
限界利益率70%で固定費が770万円の会社の場合、770万円÷0.7≒1,100万円が損益分岐点売上高です。

この会社は売上高1,100万円を超えて初めて利益が生じます。ここで注意していただきたいのは、この数字は決算書上の損益分岐点売上高のことであり、キャッシュベースのものではないということです。

キャッシュベースの損益分岐点売上高を求める場合は、おおまかに固定費から減価償却費を控除し、これに損益計算書に計上されていない借入金の返済金などを足します(税金を考慮していません)。

(固定費-減価償却費+借入金返済金など)÷限界利益率で求めます。
また、目標利益を確保するための売上高は、(固定費+目標利益)÷限界利益率で求めます。

先ほどの会社で利益100万円を確保するには、(770万円+100万円)÷0.7=1,242万円の売上が必要となります。

損益分岐点売上高をクリアできたら、その損益分岐点売上高を超えた売上高のうち変動費を控除した分は全て利益を構成します。

まずは、自社の損益分岐点売上高及びキャッシュベースでの損益分岐点売上高を把握しましょう。

不況抵抗力

さて、ここからが今回のテーマである「売上が10%減少したら、利益はいくら減少するのか?」です。

売上が○%減少したときの利益の減少割合を不況抵抗力といい、売上減少率×(限界利益÷経常利益)で求めます。
売上高1,500万円、限界利益1,050万円、経常利益280万円の会社で来期売上高が10%減少した場合、利益はいくら減るのでしょうか?
0.1×(1,050万円÷280万円)=0.375となり、利益は37.5%も減少し、金額でいうと、280万円×0.375=105万円も減少します。

逆に売上が20%アップした場合の利益はというと、1,500万円×1.2×(限界利益率1,050万円/1,500万円)-770万円=490万円となり、490万円/280万円=1.75で、75%もアップします。

出来れば、事業計画書を紙面に落とし込んでいただくのが一番ですが、なかなかそこまでいかない会社であっても、自社の損益分岐点売上高は把握しておいてもらいたいと思います。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№346


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