生命保険の支払が苦しくなったときの対処法(会社契約)

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


解約すべきかどうかの判断

業績が悪化したり、想定外の出来事が起こったりした場合に、当初は目的を持って加入した生命保険の支払が負担になってくることがあります。そんなときには、やむを得ず、生命保険の見直しを検討することになります。

保険料の支払が厳しく、保障も特に必要ないという場合には、一般的には解約を優先して考えることになります。
この場合、解約した時に発生する解約損や解約益を考慮しないといけません。

例えば、保険料の全額を経費処理している場合には、解約返戻金は全て利益になります。また、保険料の一部を資産計上している場合には、解約返戻金の金額が資産計上額より少なければ損失、多ければ利益になります。

赤字対策でどうしても利益を計上したい、という場合には、解約益が発生する保険を解約するのも1つの方法です。
なお、解約する際には、解約返戻率を見ておくことも重要です。保険契約後、間もない場合には、解約返戻率が低いことが多く、ある程度の損失は覚悟しなければなりません。

また、直近の解約返戻率の推移も確認しておきましょう。具体的には、あと1年分の保険料を支払うことで、解約返戻金がどれだけ増えるか、ということです。

例えば、あと1回分の保険料100万円を支払うことで、解約返戻金がどれだけ増えるか。
100万円超増えるのなら、解約は来期の方が有利です。逆に、100万円未満しか増えないのであれば、解約は当期の方が有利です。

ただし、解約してしまうと、当然ですが保障はなくなってしまいますので、最終的には、総合的な判断が必要です。

保険料をストップして、払済保険に

解約以外の方法として、考えられるのは、払済保険への変更です。

払済保険というのは、保険料の払い込みをストップし、その時点での解約返戻金を一時払の保険料に充当して、保障額の少ない保険に変更したものです。
以後の保険料支払がなくなる点は解約と同じですが、払済保険なら保障が残ります。
その代わり、解約返戻金を受け取ることはできません。

平成8年以前に契約した保険契約、いわゆる”お宝保険”なら、予定利率が高いですから、解約するより払済保険にして、解約返戻金を増やしていく方が有利かもしれません。

気になるのは経理処理ですが、原則、解約時と同様の経理処理をすることになります。
そのため、解約益を計上できる保険であれば、赤字対策になります。

ただし、養老保険や終身保険などでは、同種類の払済保険に変更する場合には、払済時に経理処理をしないことも認められています。この特例が適用できる場合には、どちらか自社に有利な方法を選択することができます。例えば、経理処理をすれば損失が発生するが、これ以上赤字を増やしたくないという場合には、経理処理をしないなどの選択が可能です。

保険会社からお金を借りる

その他の方法としては、自動振替貸付制度があります。これは、解約返戻金の一定範囲内で、保険会社が保険料を自動的に立て替えてくれる制度です。

この制度を利用すれば、形式的には保険料を支払わずに、保険契約を継続していくことが可能です。ただし、一定の利息がかかり、解約時には自動振替貸付金額(利息含む)を差し引いた金額が入金されることになります。利率が高いことが多いので、その点がネックになります。

同様の制度として、契約者貸付金制度もあります。こちらは、解約返戻金の一定範囲内で貸付を受けられるというものです。先程の自動振替貸付制度と同じく、利息がかかりますので、他の金融機関からの借入等と比較した上での利用になります。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№351


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