パートさんが年末に仕事を休む理由はこれだったのか!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


パートさんに立ちはだかる「3つの壁」

事業を経営していくうえで、何よりも大切なのはやはり人材ではないでしょうか。

特に中小企業の場合、正社員を雇用する余裕はない会社も多く、パートさんを活用している会社が多いのが現実です。
日本は今後「少子高齢化」社会へ突入し、働き手が減少していきます。これをカバーするため、国としても女性の活躍を推進しています。
働くことができる環境を整えようと、保育園・学童保育問題が最近は少しずつですが、解消されつつあるようです。

ただし、優秀なパートさんにフルに働いてほしい、本人も働きたいと思っていても、「3つの壁」があります。

1.103万円の壁
2.130万円の壁
3.141万円の壁

パートさんを雇用するに当たって、これらの「壁」について経営者には是非押さえておいて欲しいと思います。

103万円の壁(所得税の問題)

給与収入には、まず給与所得控除(最低保証額:65万円)を適用し、次に基礎控除(38万円)を適用すため、給与収入が(65万円+38万円=103万円)を超えると所得税が発生します。

つまり、本人について給与収入103万円までは、給与所得は0円となり、所得税はかかりません。

次に、納税者(夫と仮定)が給与収入が103万円以下の配偶者(妻と仮定、以下同じ)を扶養している場合、「配偶者控除:38万円(70歳以上の妻の場合は48万円」の適用を受けることができます。

配偶者控除38万円×税率=減少する所得税額となります。

130万円の壁(社会保険の問題)

こちらは所得税ではなく、社会保険制度によるものです。

夫が第2号被保険者(会社の社会保険に加入)の場合、妻の収入が130万円までは妻は第3号被保険者となり、年金保険料を納める必要はありません。
しかし、130万円を超えると、第1号(国民年金)または第2号被保険者として、妻が年金保険料を納めなけれなりません。

ちなみに第1号になった場合、国民年金保険料は年額183,000円です。

また、夫の勤め先の配偶者手当などもこれに連動していることもあります。

10月22日付け日本経済新聞によると、
『国家公務員や7割以上の民間企業では、専業主婦世帯を支援するため、賃金制度に配偶者手当を設けてきた。民間企業の平均で月14,347円、国家公務員は同13,000円を受け取る。』
『妻の年収が103万円や130万円を超すと「配偶者に十分な収入がある」として手当が打ち切られる。』とのこと。

パートさんが12月の繁忙期に入って就労調整を願い出る理由は、自分があと少し働くことで、「かえって世帯全体の税引き後手取額が減少」してしまうという手取りの逆転現象が生じるからです。

141万円の壁(所得税の問題)

配偶者の給与収入が103万円を超え、141万円までの場合に適用されるのが「配偶者特別控除:収入に応じ3万円~38万円」です。

かつては「配偶者特別控除」がなく、配偶者の給与収入が103万円を超えると、納税者本人の配偶者控除の適用がなくなり、配偶者の給与収入が増えても世帯でみれば「手取りの逆転現象」が生じていましたが、現行は「配偶者特別控除」により一部解消されています。

ただし、これは所得税の話です。

どちらかというと、「130万円の壁」である社会保険の問題がある限り、就労調整はなくならないのではないでしょうか?
配偶者控除のあり方については、毎年のように改正に向けて議論されています。

パートさんを雇用する経営者として、今後の社会保険の加入拡大、配偶者控除のあり方は注目すべき項目でしょう。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№409


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