従業員50人超の会社はマイナンバーの事前準備が必要

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


マイナンバー制度はすべての中小企業に影響有り

いよいよ今年の10月から、マイナンバーが記載された「通知カード」が住民票の住所宛てに郵送されてきます。

この通知カードは、0歳の赤ちゃんから120歳のおじいちゃんまで、すべての方に郵送されます。

まさに国民総背番号制なのですが、政治的なウンヌンはこのメール通信の趣旨ではありませんので割愛させて頂いて、マイナンバー制度が中小企業にどのように影響するのかを解説します(法人のマイナンバーはまた別の機会に)。

マイナンバーとは、社会保障・税・災害対策の3分野限定で、まずはスタートします(「まずは」と書いたのは、今後は更に利用範囲を預金口座などにも拡大される予定だからです)。

マイナンバーを政府や地方公共団体だけが利用するものだと理解すると、それは大いに間違いであります。

従業員の源泉所得税や年末調整、厚生年金や健康保険において、中小企業もマイナンバーを取り扱わなければならないので、企業も「個人番号関係事務実施者」と定義されていて、マイナンバーで重要な役割を果たすことになっているのです。

もし、きちんとしたマイナンバーの管理をしていないと、懲役刑となる可能性もあるという、ちょっと怖い側面も秘めているのがこのマイナンバーなのです。

マイナンバーで刑務所に?

マイナンバー制度は、平成17年に導入された個人情報保護法と似ているようで、趣きが全く異なる部分が多々あります。

個人情報保護法では、5,000人を超える個人情報を取り扱わない限り、ダイレクトに影響がなかった中小企業の方々もおられたかもしれません(個人情報保護法では本人の同意があれば問題なかったことも、このマイナンバーでは本人の同意があっても問題となりますので、この点もご注意下さい)。

しかし、このマイナンバーでは、従業員を一人でも雇っていれば、入社時等に従業員のマイナンバーを情報管理する必要が生じ、最終的にはその情報を適切に廃棄するまで、会社に責任が生じます。

また、経営者自身はきちんとマイナンバーを理解していても、従業員がマイナンバーの重要性を認識していなくて、その情報を漏えい等させた場合に、ケースによっては会社も連帯責任となる可能性があります(両罰規定)。

また、マイナンバーの罰則規定をみていると、そのすべてに懲役刑が付されているのも特徴的です。

マイナンバーに過度な反応をするのもよくないのかもしれませんが、経営者が自分には全く関係ないとしてしまうのも問題有りだと思います。

マイナンバー取得時には本人確認が必要

今回マイナンバーで中小企業経営者の皆さんにお伝えしたいのは、マイナンバーを従業員から会社が取得する時には、厳格な「本人確認」が必要だということです。

これは他国で類似のマイナンバーが導入されたときに、なりすまし事件が起こったからです。

政府のホームページから一部抜粋すると、
―――――
本人確認は「番号確認」と「身元確認」が必要です

従業員が「個人番号カード」を持っている場合には、番号確認と身元確認がこのカードのみで可能です。
個人番号カードを持っていない従業員については、番号確認は平成27年10月以降に郵送される「通知カード」での確認が基本です。
ただし、通知カードには写真がなく、身元確認はできないため、運転免許証やパスポートなどで身元確認を行います。
ーーー中略ーーー
なお、雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者(注:国や地方公共団体等)が認めるときは、身元確認のための書類の提示は必要ありません。
―――――

従業員50人超の会社はマイナンバーの事前準備が必要

個人番号カードとは、来年1月以後に発行が予定されている写真付きの番号カードですが、これは自身で役所に行って発行してもらう必要があるため、マイナンバー導入当初は、持っていない人が多いのではないかと推測します。

また、「雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元確認のための書類の提示は必要ありません」とありますが、これがどのあたりまで認められるものなのかは現時点ではわかりません。

例えば、正社員は50人程度だけど、夏の忙しい時期には主婦の短期アルバイトを毎年定期的に100人ほど雇っているという場合の本人確認はどうなるのか?

このマイナンバーでは、正社員であるかアルバイトであるかは関係ありませんので、上記のような場合で来年になってからマイナンバー対応をしているようでは、総務人事経理部門が混乱することが予想されます。

このマイナンバーは従業員への事前勉強会(周知)も必要となることから、現時点での私の考えでは、従業員50人超の会社では、そろそろ準備が必要ではないかと思います。

勉強するには、まずはこのあたりの資料から。

「社長向けの3分でわかるマイナンバー」
【特定個人情報保護委員会事務局 ≪ここがポイント≫ マイナンバーガイドライン】

http://www.ppc.go.jp/files/pdf/shacho.pdf

「総務経理担当者向けの30分でわかるマイナンバー」
【特定個人情報保護委員会事務局 マイナンバーガイドライン入門】

http://www.ppc.go.jp/files/pdf/261211guideline.pdf

【特定個人情報保護委員会事務局 中小企業向け はじめてのマイナンバーガイドライン】

http://www.ppc.go.jp/files/pdf/chusho.pdf

「金融機関向けの30分でわかるマイナンバー」
【特定個人情報保護委員会事務局 マイナンバーガイドライン入門】

http://www.ppc.go.jp/files/pdf/261211kinyu.pdf


がっつり学びたい方はこちら↓

「事業者向けのガイドライン」
【特定個人情報保護委員会 特定個人情報の適正な取扱いに関する ガイドライン(事業者編)】

http://www.ppc.go.jp/files/pdf/261211guideline2.pdf

「金融機関向けのガイドライン」
【特定個人情報保護委員会 (別冊)金融業務における特定個人情報 の適正な取扱いに関するガイドライン】

http://www.ppc.go.jp/files/pdf/141211kinyu-guideline.pdf

「上記2つのガイドラインのQ&A」
【個人情報保護委員会 「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」 に関するQ&A】

http://www.ppc.go.jp/legal/policy/faq/


この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№430


Copyright all rights reserved By マネーコンシェルジュ税理士法人

その他の最新税務関連ニュース

大阪税理士コラムのカテゴリー一覧

税務情報を「メール通信」「FAX通信」「冊子」でお届け。

中小企業の経営者及び総務経理担当者・相続関係者向けに、「知って得する」「知らないと損する」税務情報を、メルマガ、FAX、冊子の3種類の媒体でお届け。
配信日時などの詳細は下記をクリックしてご確認下さい。
会計事務所の方はご遠慮頂いております。

  • メール通信 ご登録&ご案内
  • FAX通信 ご登録&ご案内
  • 冊子媒体 ご登録&ご案内

今なら初回面談無料!
お気軽にお問い合せください。

0120-516-264受付時間 9:00~17:30(土日祝休)

メールでのお問い合せ

ページトップ