税務申告書を紛失した場合の裏ワザ!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


この度の平成30年台風第21号により被害を受けられた皆様方、平成30年北海道胆振東部地震により被害を受けられた皆様方に、心からお見舞い申し上げます。

災害等で過去に提出した確定申告書等を紛失した場合に、「税務署の閲覧サービス」がありますので、ご紹介します。

災害や引っ越し等で確定申告書を紛失した場合

災害ではありませんが、実際にあった事例です。

ご夫婦が高齢になり、ご自宅を売却し、ご夫婦でサービス付き高齢者住宅に
入居されました。
ご主人は貸家を1軒所有しており、毎年、年金と不動産について確定申告をご自身で行っていました。しかしながら、自宅の売却となると譲渡所得が生じ申告が複雑なため、弊社にご相談に来られました。

弊社は確定申告業務を受託するに当たり、過去の申告書を確認するため、過去3年の確定申告書を頂くことにしていますが、今回のケースでは、手狭なサービス付き高齢者住宅に引っ越すに当たり、過去の確定申告書を全て処分されてしまっていました。

このように、過去の申告書を参考に今後の確定申告書を提出しなければならない場合、過去の申告書を紛失してしまっていると、本当に困ってしまいますよね。

このような場合、税務署で「申告書等閲覧サービス」というものがあります。

この申告書等閲覧サービスは、申告書等を作成するに当たり、過去に提出した申告書等の内容を確認する必要があると認められる場合に限って利用できます。これ以外の目的(第三者からの申告内容の問合せに対する回答など)のためには利用することはできません。

「申告書等閲覧サービス」の利用方法

1.閲覧申請場所
納税地を所轄する税務署です。

2.閲覧サービスの対象文書
所得税申告書、法人税申告書、消費税及び地方消費税申告書、相続税申告書、贈与税申告書、各種申請書、届出書、請求書、報告書等及び納税者がこれらの申告書等に添付して提出された書類(例えば、青色申告決算書や収支内訳書などをいい、所得税申告書に添付された医療費の領収書等を除く)です。

3.閲覧申請者の範囲等
納税者本人又はその代理人が行うことができます。
なお、次に掲げる場合には、納税者本人は、それぞれ次に掲げる方が該当します。

(1) 法人(人格のない社団等を含む)が提出した申告書等を閲覧する場合:法人の代表者(代表清算人及び破産管財人を含む)

(2) 納税者が申告書等を提出する前に亡くなられた場合で相続人が提出した申告書等又は亡くなられた方が生前に提出した申告書等を閲覧する場合:相続人

また、代理人の範囲は次のとおりです。
・ 未成年者又は成年被後見人の法定代理人
・ 配偶者及び4親等以内の親族(納税者が個人である場合に限る)
・ 納税管理人
・ 税理士、弁護士、行政書士(行政書士は一定書類に限定)
・ 法人の役員又は従業員
もちろん、税の専門家である税理士は含まれています(公認会計士は含まれていません)。

4.閲覧申請時に必要な書類等
納税者本人が閲覧を申請する場合は、 運転免許証等があれば事足ります。
一方、代理人が閲覧を申請する場合には、代理人の区分ごとに一定書類の提示又は提出が必要となります。
税理士が代理人として閲覧する場合なら、納税者は「委任状と印鑑証明書」を税理士に渡すだけ大丈夫です。

さて、問題はここからです。

コピーもカメラ撮影もダメ!

この申告書等閲覧サービスでは、申告書等のコピーでの交付、カメラ撮影、スキャナーによる読み取りは、原則として禁止されています。

つまり、コピーはもらえません!
税務署が用意してくれた過去の申告書や申請書を全てその場で書き写します。

ちなみに税理士事務所の職員は原則として許可されていませんので、税理士が実施します。その間、税務署職員が側に座り、見張って(?)いるという、ある種異様な中、黙々と書き写します。私たちプロは、税務署に行く前に書き写す用紙を準備していき、段取りよく行います。

しかし、一般の納税者にとってはなかなか大変な作業でないかと思います。
災害により申告書等を紛失するケースだけでなく、今後は痴呆等により紛失する可能性も多いにあり得ます。

このようなサービスがあることを頭の隅に入れておいてください。

最後に相続や贈与、譲渡の申告書については、捨てずに保管しておいてください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№608


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