今年6月分給与からの定額減税、具体的にどうすればいい?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


定額減税の源泉徴収に関する実施要領案が公表されました

1月19日に、財務省、国税庁から、「令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除」という書類が公表されました。

そこで、今年の6月から開始される定額減税の源泉徴収に関する実施要領案がまとめられています。

全事業者の方に影響する内容かと思いますので、ここで、その主要な部分について、ご紹介しておきます。

1.令和6年分所得税の定額減税の概要(対象者等)

(1)居住者の所得税額から、定額減税に係る額(以下「特別控除の額」)を控除する。ただし、その者の令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下である場合に限る。

(2) 特別控除の額は、次の金額の合計額とする。ただし、その合計額がその者の所得税額を超える場合には、所得税額を限度とする。
・本人 3万円
・同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に該当する者に限る。以下「同一生計配偶者等」) 1人につき 3万円

2.源泉徴収税額からの控除の実施者

主たる給与等の支払者のみが特別控除を実施することとし、従たる給与等の支払者は行わない。

<ポイント>
1は、今回の概要になります。厳密には、同一生計配偶者や扶養親族の範囲について、詳しい要件がありますが、ここでは割愛します。

基本的には甲欄の役員、従業員のみ定額減税の対象となり、乙欄の方については、対象外となります。

6月以前からの在籍者と6月以降入社で、控除方法が異なる

3.源泉徴収税額からの控除の実施方法

(1)令和6年6月1日において主たる給与等の支払を受ける者を対象として、令和6年6月1日以後最初の給与等(賞与を含む)の支払日(以下「給与支払日」)までに提出された扶養控除等申告書に記載された情報に基づき、特別控除の額を計算する。

(2)令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等について源泉徴収をされるべき所得税の額(控除前源泉徴収税額)から特別控除の額を控除する。

(3)(2)において控除しきれない部分の金額は、以後令和6年中に支払われる当該給与等(同年において最後に支払われるもの(年末調整をする場合)を除く)に係る控除前源泉徴収税額から、順次控除する。

(4)年末調整においては、住宅借入金等特別控除後の所得税額から、住宅借入金等特別控除後の所得税額を限度に、特別控除の額を控除する。また、特別控除の額を控除した金額に付加税率を乗じた税額を加えて、復興特別所得税を含めた年税額を計算する。ただし、年末調整を除く給与収入に係る源泉徴収税額からの控除にあたっては、所得税及び復興特別所得税が一体として納税されていることも踏まえ、その合計額から特別控除の額を控除する。

(5)令和6年6月1日より後に雇用されて扶養控除等申告書を提出した者については、特別控除の額について年末調整時に控除することとし、各給与等支払時における控除については行わないこととする。

<ポイント>
「令和6年6月1日において主たる給与等の支払を受ける者を対象とする」のが、1つのポイントです。

6月分給与で控除しきれない部分は、7月分以降の給与で控除していきます。

最後に、年末調整時に控除しきれない部分が残っていれば、年末調整で残りの金額を控除することになりますが、住宅ローン控除が先に適用されることになるようです。

なお、令和6年6月1日より後に雇用された方についての定額減税は、給与支給時には行わず、年末調整時にのみ控除することになります。

控除不足額が残っても、令和7年分での控除はなし

4.源泉徴収票等の記載事項

(1)主たる給与等の支払者が令和6年6月1日以後に年末調整をして作成する源泉徴収票の摘要欄の記載事項
・所得税の定額減税控除済額、控除しきれなかった額
・(該当者のみ)合計所得金額が1,000万円超である居住者の同一生計配偶者(以下「非控除対象配偶者」という。)分の特別控除を実施した場合、その旨

(2)令和6年6月1日以後に交付する給与明細等の記載事項
その給与明細等に係る控除前源泉徴収税額から控除した定額減税の控除済額

5.その他

(1)令和6年6月1日より前に退職・国外転出・死亡している場合には、源泉徴収による対応は不要とする。

(2)源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を納付する場合、所得税徴収高計算書には定額減税の控除後の源泉徴収税額を記載する。なお、本定額減税の実施のための源泉徴収票様式・所得税徴収高計算書様式の改訂は予定していない。

(3)令和6年分の給与収入に係る源泉徴収税額から控除しきれない額があった場合であっても、令和7年分の給与収入に係る源泉徴収税額から控除はしない。

(4)所得税及び個人住民税の定額減税の実施と併せ、定額減税しきれないと見込まれる者への給付を含め、市区町村から各種の給付措置が行われる予定であるが、各給与所得者の当該給付措置に係る給付額やその受給状況は、その給与所得者が令和6年6月1日以後支払を受ける給与等に係る控除前源泉徴収税額からの特別控除に影響を与えるものではない。

<ポイント>
源泉徴収票には、所得税の定額減税の控除済額と控除しきれなかった額を記載しなければなりません。

6月分以後の給与明細にも、定額減税の控除額を記載する必要があります。

また、令和6年6月1日より前に退職等した従業員については、令和6年6月1日以後に給料支払が発生したとしても、定額減税を行う必要はありません。

令和6年分の年末調整で控除しきれなかった場合ですが、この場合でも、令和7年分の給与から控除することはしません。

なお、各市町村から定額減税に関する各種給付措置が行われても、その金額などを給与計算時に考慮する必要はありません。

この実施要領案は、あくまでも源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるようあらかじめ周知・広報するもので、令和6年度税制改正のための税制改正法案については、今後国会に法案を提出し、国会審議を経ることが前提となっていますので、ご注意ください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№883


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