がん保険の全損処理に改正の兆し?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


国税庁よりがん保険のデータ提出要請あり

最近、国税庁から生命保険業界に対して、がん保険についてのデータを提出してほしい、という依頼があったようです。つまり、このことから推測すると、国税当局はがん保険の税務上の取扱いについて、改正を検討しているものと思われま
す。

がん保険は医療保険ですので、普通は一般個人の方が入られるようなイメージがあるかもしれませんが、実は法人の節税対策にも利用されています。

がん保険は原則、保険料の全額を経費計上できます。なおかつ、解約返戻率が高いため、一定年数以上掛けて解約した場合、中には支払った保険料が9割以上戻ってくるがん保険もあります。「全損」と「高い解約返戻率」、この2点により、現在のところ、節税対策の定番商品となっています。

このがん保険について、もし改正が入るとした場合、恐らく現在認められている全額経費処理の取扱いが、1/2損金や1/4損金などに改正される可能性が考えられます。

もちろん、改正の有無や内容、時期などは、現段階ではまだ全くの白紙ですが、導入を検討されている方は、今後の動きにご注意下さい。

国税庁と生命保険業界のいたちごっこ

実は、生命保険商品の取扱いについての改正は、割と頻繁に行われます。

最近では、逓増定期保険の取扱いに対する改正がありました。これも一昔前は、節税の定番商品として広く販売された商品です。
当時は、節税保険の条件である「全損」と「高い解約返戻率」という2つを満たしていたのですが、先の改正により取扱いが変わり、現在は「全損」となる逓増定期保険はほとんどありません。

その後、逓増定期保険に取って代わったのが上記のがん保険(他にも、長期平準定期保険もあります)というわけです。しかし、そのがん保険にもいよいよ改正が迫ってきたようです。

生命保険節税、2つの注意点

生命保険を使って節税する場合には、主に2つの注意点があります。

1つは、生命保険節税はあくまで課税の繰延べだということです。

保険料を支払っている間は節税できても、解約返戻金を受け取ったときには、それが雑収入として課税されてしまいます。そのときに、役員退職金を支払うなどの出口戦略が必要です。

もう1つは、改正リスクです。

生命保険商品の取扱いは、度々改正されます。今は有効な節税(課税繰延)対策だったとしても、今後もずっと有効とは限りません。そのリスクを知った上で利用することが必要です。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№197


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