税源移譲により住宅ローン控除制度が変わります

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、税源移譲により住宅ローン控除制度の仕組みが変わったことについてお届けします。

所得税から住民税へ税源移譲

平成19年から、地方分権の推進を行うため国税(所得税)から地方税(住民税)へ3兆円の税源の移し替え(税源移譲)が実施されています。

この税源移譲により、所得税と住民税の税率が変わりました。

【所得税】平成19年1月分から適用→4段階の税率を、6段階に細分化(5%、10%、20%、23%、33%、40%)
【住民税】平成19年6月分から適用→3段階の税率から、一律10%に統一

これにより、ほとんどの方において所得税が1月分から減り、そのぶん6月分から住民税が増えることになります。
しかし、税源の移し替えであるため「所得税+住民税」の負担は基本的には変わりません。

基本的には変わりませんが・・・

住宅ローン控除制度を適用している方は、仕組みが若干変わります。
まず、住宅ローン控除というのは所得税だけ減税してくれる制度です。
しかし、所得税と住民税の税率が変わることにより本来受けられる住宅ローン減税額が減少してしまう方がいます。

そこで、所得税で受けられなくなったメリットを、翌年分の住民税でカバーしてあげようという調整措置ができました。

この調整措置の対象者は、平成11年から平成18年までに入居され、平成19年分以降の所得税において住宅ローン控除の適用対象となる方です。

どうやってわかるの?

5月に国税庁より平成19年分の給与所得の源泉徴収票が公表されました。
源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除の額」とは別に、新たに(摘要)欄に「住宅借入金等特別控除可能額」が記載されることになりました。

これにより、住宅ローン控除対象者自身が住民税でカバーしてくれる控除額の存在を認識できるようになります。

それでは、次にその住民税カバー額の計算方法を確認していきます。
住民税カバー額=下記①と②のいずれか小さい金額ー税源移譲後の所得税額
①住宅ローン控除額
②税源移譲前所得税額

具体的には、このようになります。
課税所得195万円、移譲前所得税額195,000円、移譲後所得税額97,500円、住宅ローン控除額200,000円とします。

195,000円ー97,500円=97,500円が翌年の住民税から控除されることになります。

自主申告が必要です

そこで、地方税でカバーしてもらうには、住宅ローン控除対象者が自ら市区町村長に対し「市町村民税及び道府県民税特別税額控除申告書」を各年度の提出期限(原則として3月15日)までに申告する必要があります。

なお、確定申告書を提出している方は、税務署経由で提出されることになりますのでこの申告をする必要はありません。

経営者として知っておいてほしいこと

ちょっとややこしい部分のある住宅ローン控除制度ですが、要は「源泉徴収票」の摘要欄をみたときに「住宅借入金等特別控除可能額」の記載がある従業員の方がいれば、経営者(会社)としては、「市区町村役場に行って申告すると住民税が減税されるよ」と伝えてあげてほしいのです。

今後年末までに政府広報等で周知はされるでしょうが、それでも多分、従業員の方は、「よくわからない」状態でしょうから、経営者(会社)側から、従業員に伝えてあげるのがいいと思います。

Ps.ちなみに今回の内容は、今年(平成19年)以後に家を買って「住宅ローン控除制度」を受ける方は関係ありませんので。そういう方はすでに新しい住宅ローン控除制度との選択制によって税金の不公平が是正されています。

この話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№35


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