上場株式等の譲渡はここに注意!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


さて、今回は上場株式等の譲渡に関する注意点についてお送りします。

特定口座と確定申告不要制度

平成20年は激動の年でした。100年に1度と言われる大恐慌で、株価は大きく下がりました。株式の売買をされた方は、損をした方が多いのではないでしょうか。今回は上場株式等を譲渡したときの注意点について、まとめてみたいと思います。

上場株式等の譲渡は、その口座の種類別に大きく3つのパターンがあります。
一般口座、特定口座(源泉徴収なし)、特定口座(源泉徴収あり)の3つです。

このうち、源泉徴収ありの特定口座を選択しておられる方は、既に証券会社が所得税、住民税を天引きしていますので、確定申告する必要がありません。
一般口座や源泉徴収なしの特定口座を選択している場合には、源泉徴収がされていませんから、必ず確定申告しなければなりません。

この源泉徴収ありの特定口座での、確定申告不要制度はただ申告の手間が省けるだけでなく、他のメリットもあります。国民健康保険に加入しておられる方は、申告不要になることで、株式の譲渡所得が国民健康保険料の課税対象から外れることになります。

確定申告した方が有利な場合

ただし、源泉徴収ありの特定口座であっても、確定申告した方が有利な場合があります。それは、株式の譲渡損失が出ている場合です。

上場株式等の譲渡損失については、明細を添付して確定申告することで、3年間その損失を繰り越すことができます。繰り越した損失は、同じく上場株式等の譲渡益と相殺することができます。

譲渡損失のときには税金がかからないので、申告が不要だと思っていらっしゃる方も多いかもしれませんが、損失のときこそしっかり申告しておくことが大事です。

また、特定口座を複数持っていらっしゃる方も、確定申告した方が有利な場合があります。

例えば、源泉徴収ありの特定口座を2つ持っていて、片方は譲渡益、片方は譲渡損失になっている場合、そのまま確定申告をしないこともできますが、譲渡益と譲渡損失を相殺しようと思うと、確定申告しなければなりません。

上場株式等の譲渡損失を申告する場合の注意点

ただ、上場株式等の譲渡損失を申告する場合にも注意点が2つあります。

1つは、長寿医療保険との関係です。
長寿医療保険の対象になっておられる方は、その方の所得や収入によって、医療費負担が1割になるか、3割になるかの判定が行われます。

この場合、収入によって判定されることがありますので、上場株式等の譲渡で損失が出ていたとしても、譲渡収入が多額である場合には、3割負担になる可能性が出てきます。注意が必要です。

もう1つは、配偶者控除、扶養控除との関係です。
配偶者控除や扶養控除の対象になるには、所得38万円以下であることが必要ですが、38万円以下になるかどうかは、上場株式等の譲渡損失の繰越控除前の金額で判断されます。

例えば、平成19年に上場株式等の譲渡損失が100万円あり、その損失を確定申告して繰越しました。翌年、平成20年に上場株式等の譲渡益が100万円出たので、前年の損失と相殺して申告しました。

この場合、平成20年の上場株式等の譲渡所得は0円になりますが、配偶者控除や扶養控除の対象になれるかどうかを判定する際のその方の所得は100万円になってしまいますので、注意して下さい。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№121


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