個人事業主、青色申告の特典

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


青色申告、5つの特典

個人事業主の節税の王道といえば、「青色申告の特典」です。

青色申告承認申請書を税務署に提出することによって白色から青色となるのですが、青色申告は記帳義務があるため、敬遠される方も多いです。

しかし、青色申告には以下に掲げるような5つの特典があるのでオススメです。

1.青色申告特別控除
2.青色事業専従者給与の支給
3.純損失の繰越しと繰戻し
4.貸倒引当金の設定
5.少額減価償却資産の特例

青色申告特別控除

最初の「青色申告特別控除」というのは、所得金額から10万円又は65万円を控除してくれるというものです。
簡易な帳簿付けの場合は10万円で、複式簿記で帳簿を付けている場合は65万円の控除となります。

65万円控除が受けられると、実効税率を30%とした場合の節税効果は、65万円×30%=19.5万円となります。
しかも、これが今後毎年受けられることになります。

青色事業専従者給与の支給

次の青色申告の特典は、「青色事業専従者給与の支給」です。

白色申告ですと、配偶者専従者で86万円、その他の専従者で50万円までしか、身内の給与支給は認められません。
これが、青色申告の場合ですと、事前に税務署に提出した「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した金額内で仕事に見合ったものであれば、特に上限はありません。

個人事業主1人で多くの所得を稼ぐと、所得税が超過累進税率のため税金が多額になります。
それを自分の仕事を手伝ってくれている妻や家族に給料を支払うことができれば、所得分散を図ることができ、家族全体で節税となります。

注意点としては、事業専従者給与の支給を受けている場合は、たとえ収入が103万円以下でも配偶者控除や扶養控除の対象にはできないことです。

純損失の繰越しと繰戻し

3つ目の青色申告の特典は、「純損失の繰越しと繰戻し」です。

純損失の繰越しとは、事業所得などが赤字になり損失が生じたときに、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる制度です。
つまり、翌年以後3年間、損益通算を図ることができます。

また、純損失の繰戻しとは、前年も青色申告をしている場合に損失の繰越しに代えてその損失額を前年の所得から差し引き、前年の所得税を還付してもらう制度です。

これらはもちろん、白色申告では基本的に認められていません。

事業経営というのは波があるものですが、この制度を活用できればその波をある程度平準化できます。

貸倒引当金の設定

青色申告を選んだ場合の4つ目の特典は、「貸倒引当金の設定」です。

事業から生じた売掛金や貸付金などに対する貸し倒れの見込額として、年末における売掛金等の帳簿価額の5.5%(金融業は3.3%)を貸倒引当金繰入額として必要経費算入を認めてくれる制度です。

例えば、売掛金が500万円あれば、500万円×5.5%=275,000円の経費を認めてくれるということです。
実効税率を30%とした場合の節税効果は、275,000円×30%=82,500円となります。

少額減価償却資産の特例

最後の青色申告の特典は、「少額減価償却資産の特例」です。

通常、10万円以上の物品は資産計上が必要ですが、青色申告者はそのバーが30万円に上昇します。

つまり、30万円未満のものは、一括で経費計上できるのです。
ただし、年間300万円という上限があります。

白から青へはその年3月15日まで

以上見てきたように、青色申告を選ぶと節税特典が色々とあります。

しかし、白色申告者がすぐには青色申告者にはなれません。
この適用を受けようとする年の3月15日までに、あらかじめ青色申告承認申請書を所轄の税務署長に提出しなければなりませんので、ご注意ください。

なお、1月16日以後に新たに事業を始めた方は、開業の日から2ヶ月以内となっています。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№169


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