今年の確定申告、配当のある方要注意!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


確定申告期限まであと15日

今日は3月1日。確定申告もいよいよ佳境です。

今年の確定申告からいくつかの項目が改正になっていますが、その中でぜひ気を付けて頂きたいのが、証券税制についての改正です。

これまでは、上場株式等の配当と上場株式等の譲渡損失は損益通算できませんでしたが、それが平成21年分確定申告から認められるようになりました。上場株式等の配当がある方は要注意です。

そこで、簡単に改正の内容と配当がある場合の注意点についてご紹介していこうと思います。

申告不要か、配当控除ありの総合課税か

上場株式等の配当等については、従来から申告不要制度が設けられていますので、発行済株式総数の5%以上を保有していない限りは、金額にかかわらず、確定申告をしない(もしくは確定申告に含めない)ことができます。

この方法を選択した場合、配当金額が所得に含まれないというメリットがあります。
税金以外の制度においても、所得金額が計算の根拠や判定基準とされるものはいろいろありますので、”所得金額に含まれない”ということはそれだけで有利です。

もちろん確定申告するという選択もできます。

この場合には総合課税となり、他の所得と合算された上で課税されることになります。所得税は累進課税ですので、配当所得以外に多額の所得がある場合には、税率が高くなってしまうというデメリットがあります。

上場株式等の配当は、現在10%の源泉税(所得税7%・住民税3%)が課税されていますが、総合課税の税率が高ければ不足分の税額を支払うことになります。

ただし、総合課税の場合には配当控除という税額控除が適用できますので、有利か不利かは配当控除を計算に入れた上で考えなければなりません。一般的には、所得の多い方は総合課税が不利になるケースが多いと思います。

また、先ほども書いたように、総合課税の場合には申告不要制度とは違い、配当所得が合計所得金額に含まれることになりますので、所得税や住民税以外にも影響する可能性があります。

申告分離課税、見極めのポイント

上記の2つの制度に加えて、今回の確定申告から新たに申告分離課税を選択することができるようになりました。申告分離課税を選択した場合にだけ、上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能となりますので、基本的には損益通算ができることを前提に選択する制度ということになります。(平成22年からは、源泉徴収ありの特定口座内で損益通算が可能になります)。

ただし、今回の確定申告で申告分離課税を選択した場合、損益通算後の所得がある場合には、その超過部分(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用を受けている場合には、その適用前の金額)が合計所得金額に含まれることになります。

合計所得金額を少なくしたい場合には、配当ごとに申告不要と申告分離のどちらを選択するか、考えどころになります(ちなみに申告分離を選択した場合でも、税率は申告不要制度と変わりません)。

具体的には、申告不要制度は「1回に支払を受けるべき配当等の額ごと」に選択することができますので、譲渡損失と損益通算できる範囲を超えてしまう部分の配当については、申告不要制度を選択する方が有利です。

この損益通算は、平成20年以前から繰り越した譲渡損失も対象になりますが、その場合には、繰り越し分の譲渡損失との損益通算前の金額が合計所得金額になります。
配偶者控除や扶養控除の対象となっている方は、要注意です。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№171


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