その市販薬、医療費控除の対象かも?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


市販薬も医療費控除の対象となる

確定申告義務のない給与所得者が、初めて確定申告するので多いのが、「医療費控除」ではないでしょうか。

「医療費控除」とは、ご自身とその生計を一にする配偶者その他の親族のために原則年間10万円超の医療費を支払った場合に、その超過額相当が所得税及び住民税において、所得控除の対象となり、税負担が軽減されるというものです。

なお、原則年間10万円超の医療費を支払った人が対象ですが、所得合計額が200万円までの人は、その所得合計額の5%超で対象となります。

そして、何度もご案内しておりますが、同一世帯なら最も所得の多い人が家族分の医療費をまとめて、「医療費控除」を受けるのが得です。
医療費控除の対象となる「医療費」のうちに、「治療又は療養に必要な医薬品
の購入」があります。

「医薬品とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬事法第2条第1項)に規定する医薬品をいうのであるが、薬事法に規定する医薬品であっても、疾病の予防又は健康増進のために供されるものの購入の対価は、医療費に該当しないことに留意する」と所得税基本通達に定められています。

つまり、市販薬購入代金を医療費控除の対象とするには、3つの要件すべてをクリアする必要があります。

①薬事法に規定する医薬品
②治療や療養のために必要
③病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額

薬局で購入した市販薬の全てが、医療費控除の対象となるわけではありません。

具体例

その1:薬局などで市販されているかぜ薬の購入費用
⇒医師の処方や指示がなくても医療費控除の対象となります。

その2:漢方薬やビタミン剤の購入費用
⇒治療又は療養に必要な場合であり、かつ、医薬品である場合、医療費控除の対象となります。薬事法に規定しない漢方薬等は、医療費控除の対象となりません。

その3:食事療法に基づく食品の購入費用
⇒医療費控除の対象となりません。高血圧症のため、医師の指示により自宅で低カロリー・低塩分の食品による食事療法を行った場合であっても、医療費控除の対象にはなりません。

平成29年から「スイッチOTC薬控除」が創設

現行の医療費控除制度は、病院の医療費、処方箋代、市販薬等を年間10万円超支払った場合に適用されます。

しかし、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、検診、予防接種等を受けている個人を対象として、平成28年度税制改正大綱において、スイッチOTC医薬品の購入費用についてセルフメディケーション(自主服薬)推進のための所得控除が創設される予定です。

「特定健康診査・予防接種・定期健康診断・健康診査・ガン検診」を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を年12,000円超支払った場合には、その超過金額(上限88,000円)について、所得控除の対象となります。

対象となるスイッチOTC医薬品(医療用から転用された医薬品のこと)の薬効例として、かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬があります(しかし、これらの薬効の医薬品の全てが対象となるわけではありません)。

例えば、病院に行かずにOTC医薬品を年間20,000円購入した場合(他の医療費は50,000円と仮定)、年間10万円に足りないため、現行制度では医療費控除を適用できません。

しかし、「スイッチOTC薬控除」が導入されると、(20,000円-12,000円=8,000円)が対象となります。

ただし、この8,000円は所得控除ですので、(8,000円×所得税率)が減税額となります。

※平成28年度税制改正大綱につきましては、国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№473


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