住宅ローン控除、改正の意図

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


住宅ローン控除が改正に

昨年12月発表された平成19年度税制改正大綱により、住宅ローン控除の改正が行われそうだ。この住宅ローン控除の改正は、既に決定している国から地方への税源委譲と密接に関わっており、仕組みをよく理解しておかないと思わぬ損をしてしまうことも考えられる。

今回は、この住宅ローン控除の改正の意図と、住宅ローン控除適用に当たっての注意点をご説明したい。

住宅ローン控除の基礎

まずは住宅ローン控除の基本的な仕組みから簡単に復習しておこう。住宅ローン控除は、マイホームを新築又は購入等した場合に借り入れたローンについて、その年末残高の一定率を所得税額から直接控除できる特例である。平成20年12月31日までの時限措置となっているため、新規入居で適用を受けるためには平成20年末までに居住を開始しなければならない(既に住宅ローン控除の適用を受けている分については平成21年以後も適用可能)。

また適用に当たってはいくつかの要件があり、その年の所得金額が3,000万円を超える場合や、床面積が50㎡未満である場合などには適用できない。控除率と適用期間に関しては、居住開始年度により異なってくる。平成19年、20年居住開始分については、現行では以下のようになっている。

今回の改正の意図

上記の現行の住宅ローン控除に加え、今回の大綱では以下の控除形式が設けられ、現行の住宅ローン控除との選択制になる。

なお、上記の控除形式が選択できるのは、平成19、20年居住開始分のみであり、既に居住を開始している分には全く影響しない。

ではなぜ、このような改正が行われたのだろうか。それは所得税、住民税の税率が改正されたことによる。昨年の改正により、国から地方へ税源を委譲するため所得税と住民税の税率が改正され、新しい税率が今年から適用される。大抵の方は、所得税が少なくなり、住民税が多くなる。

原則として所得税と住民税を合わせた総額は変わらないため影響はないように見えるが、住宅ローン控除は所得税のみに適用される特例であるため、所得税額が少なくなれば、それだけ控除できる金額も少なくなるため、期間合計での控除金額は以前より減ってしまう。

そこで、期間合計での控除限度額を維持したまま、控除期間を15年間に延長すれば、以前とほぼ同じ控除金額が保てるというわけである。これまでより減税になる改正ではないが、今後マイホームの取得等を検討されている方は、この改正の趣旨を十分理解しておいて頂きたい。

適用に当たっての注意点

最後に、現在住宅ローン控除の適用を受けている方や、今後適用を検討されている方が気を付けるべき注意点をいくつか列挙しておくので、参考にして頂きたい。

■現在既に適用を受けている方
・所得税率変更により住宅ローン控除額が減少する方は、住民税の減額申請を行うことができる(平成19年分確定申告より開始)。

・住宅ローン控除のみで夫の所得税負担が0になる場合などには、妻で子供の扶養控除の適用を受けるなどの工夫を。

■新たに適用を検討されている方
・平成19年入居と平成20年入居では、住宅ローン控除の控除限度額は平成19年入居の方が有利。

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除や長期譲渡所得の軽減税率の特例などの適用を受けた場合には、住宅ローン控除との重複適用はできないため注意。

・初年度の適用は確定申告が必要

税務ニュース№8


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