住宅ローン控除、改正の意図

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


住宅ローン控除の改正がほぼ決定

昨年12月発表された平成19年度税制改正大綱により、住宅ローン控除の改正がほぼ決定しました。今年3月の国会を通過すれば最終決定となります。

この住宅ローン控除の改正は、既に決定している国から地方への税源委譲と密接に関わっているのですが、その内容についていろいろと誤解も多いようですので、今回は、この住宅ローン控除の改正についてご紹介しようと思います。

住宅ローン控除の基礎

まずは住宅ローン控除の基本的な仕組みから簡単にご説明しておきます。

住宅ローン控除は、マイホームを新築又は購入等した場合に借り入れたローンについて、その年末残高の一定率を所得税額から直接控除できる特例です。平成20年12月31日までの時限措置となっていますので、新規入居で適用を受けるためには平成20年末までに居住を開始しなければなりません(既に住宅ローン控除の適用を受けている方については平成21年以後も適用可能です)。

また適用に当たってはいくつかの要件があり、その年の所得金額が3,000万円を超える場合や、床面積が50㎡未満である場合などには適用できません。

上記の事項は、以後にご説明する今回の改正によっても変わることはありません。

今回の改正の意図

では今回の改正で、住宅ローン控除の何が変わったのでしょうか。

現行の住宅ローン控除では、控除期間と控除率は次のように定められています。

平成19、20年居住分→控除期間10年、1~6年目1.0%、7~10年目0.5%(ただし、10年間での控除限度額は、平成19年分は200万円、20年分は160万円)

今回の改正ではそれに加え、次のような控除形式が設けられ、現行の住宅ローン控除との選択制になります。

平成19、20年居住分→控除期間15年、1~10年目0.6%、11~15年目0.4%(控除限度額は現行と変わらず)

ではなぜ、このような改正が行われたのでしょうか。
それは所得税、住民税の税率が改正されたことによります。

昨年の改正により、国から地方へ税源を委譲するため、所得税と住民税の税率が改正され、新しい税率が今年から適用されます。これにより大抵の方は、所得税が少なくなり、住民税が多くなることになります。

原則として所得税と住民税を合わせた総額は変わりませんので影響はないように見えますが、住宅ローン控除は所得税のみに適用される特例であるため、所得税額が少なくなれば、それだけ毎年控除できる金額も少なくなるため、期間合計での控除金額は以前より少なくなってしまいます。

そこで、控除率を下げ、控除期間を15年間に延長すれば、毎年の控除金額は少なくなっても、控除期間が延びるため、以前とほぼ同じ控除金額が保てるというカラクリなのです。

もちろん、控除期間全体での控除限度額等は以前と変わりませんので、控除期間が延びたからといってこれまでより減税になることは原則的にはありません。

また、これは新たに平成19、20年に住宅ローン控除を適用される方の特例ですので、既に適用を受けている方の控除期間は延長されません。
「住宅ローン控除の改正で、減税になる!」と思われていた方はちょっと残念ですね。

在住宅ローン控除の適用を受けている方

所得税の税率が変わり、所得税が少なくなれば、現在住宅ローン控除の適用を受けている方にも当然影響はありますが、それについては、来年の確定申告から手当てがされることが決定しています。

具体的には、所得税が少なくなって住宅ローン控除ができなくなった金額を住民税から控除できるように、減額申請ができるようになります。

これは来年の確定申告からの適用ですので、今年の確定申告には関係ありません。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№13


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