平成23年度税制改正、ようやく決定-1
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
平成23年度税制改正をめぐる紆余曲折
政治をめぐる混乱や震災の影響もあり、今年の税制改正は4月を過ぎても成立せず、3月末で期限切れとなる税制措置のみ、つなぎ法案で6月末までとりあえず延長している状態でした。
それが先日、税制改正法案を2つに分離するという形で、そのうち一方の改正がようやく決定しました。もう一方の法案は、引き続き審議中ですが、今のところ成立の見込みは立っていません。
当初の税制改正案では、いろいろ抜本的な改正項目が挙がっていたのですが、その大半は今回の改正で実現しない可能性が濃厚です。
実現した改正項目のうち主なもの
現在、成立している改正項目のうち、主なものを以下にご紹介します。
●年金所得者の申告不要制度
その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合に、申告不要制度が新設されます(時期未定)。
●消費税の免税点制度
現在、消費税は原則前々期の課税売上高が1,000万円超であれば、当期が課税事業者になる仕組みになっています。
それが今回の改正で、前々期の課税売上高が1,000万円以下でも、原則、前期の上半期6ヶ月の課税売上高が1,000万円超であれば、当期が課税事業者になる仕組みに変わります。
ただし、これには特例があり、原則前期上半期に支払った給与等の金額が1,000万円以下であれば、免税事業者になるという措置が用意されています。
この改正は、平成25年1月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
●認定NPO法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除
個人が認定NPO法人等に対して寄附をした場合に、一定率を所得税から控除する制度が新設されます(時期未定)。
●雇用促進税制
雇用保険の被保険者数が、前期末に比べて5人(中小企業は2人)以上かつ10%以上増加し、支払給与額が一定率増加している場合には、増加人数×20万円の税額控除(中小企業は法人税額の20%が限度)が受けられる制度が新設されます。
平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度から適用されます。
(雇用促進税制は、ハローワークへの事前手続きが必要になりますが、詳細は現時点で不明。)
残りの改正項目の行方
当初の税制改正では、以下のような改正項目も挙げられていました。
これについては、現在成立の目途は立っていません。
〔法人税〕
●法人実効税率の5%引き下げ
●中小法人に対する軽減税率の引き下げ(18%→15%)
●欠損金の繰越期間の延長(7年→9年) など
〔所得税〕
●給与所得控除の上限設定
●成年扶養控除の縮小 など
〔相続税・贈与税〕
●相続税の基礎控除の引き下げ、税率見直し
●贈与税の税率見直し
●相続時精算課税の孫への拡大 など
もし、今年の税制改正で上記項目が実現しなかった場合に、それが来年に横滑りになるのかどうかは、今のところ全くわからない状態です。
次回、「平成23年度税制改正、ようやく決定-2」でお伝え致します。
この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№239
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