証券優遇税制をおさらい!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


証券優遇税制の行方

リーマン・ブラザーズ破綻に始まる未曾有の金融危機で、株式市場も大混乱となっている。そのため、来年の税制改正では証券優遇税制の方向転換が検討されている。ここ数年で証券優遇税制は目まぐるしく改正が行われているため、そもそも現在の証券優遇税制そのものがどんなものだったか、混乱してしまっている方も少なくないと思う。

そこで今回は、今後の改正の行方はさておき、平成20年分確定申告において適用される証券優遇税制の内容をまとめておきたい。

配当所得に関する証券優遇税制

まずは、配当についてである。これは上場株式等(一定の証券投資信託の収益分配金等を含む)とそれ以外で取扱いが異なる。上場株式等の配当については、10%(所得税7%・地方税3%)の税率により源泉徴収が行われる。それ以外の配当については、20%(全額所得税)の税率により源泉徴収される。ただし、発行済株式総数の5%以上の株式等を有する大口株主が受け取る上場株式等の配当については、20%の源泉徴収となる。

また、上場株式等の配当等については、確定申告不要制度と総合課税制度のどちらか有利な方を選択することができる。総合課税制度の場合には、配当控除の適用が受けられる。上場株式等以外の配当等でも、年間10万円以下のものについては、上記と同様となる。ただし、上場株式等以外の配当等の場合、確定申告不要制度を選択しても、住民税については確定申告が必要となる。

尚、株式等の譲渡所得との損益通算は、平成21年以降となっているため、平成20年分確定申告においては適用がない。

株式等を譲渡した場合の証券優遇税制

次は、株式等を譲渡した場合の証券優遇税制である。証券会社等を通じて上場株式等を譲渡した場合には、10%(所得税7%、地方税3%)の税率となり、それ以外の株式譲渡については、20%(所得税15%・地方税5%)の税率となる。源泉徴収なしの特定口座を選択した場合等を除けば、上記の税金は源泉徴収される。

申告については、源泉徴収ありの特定口座を選択した場合のみ、確定申告不要制度を選択することができる。それ以外の場合には、申告分離課税による確定申告が必要となる。ただし、源泉徴収ありの特定口座の場合でも、他の口座における譲渡損益と相殺する場合や、後述する上場株式等の譲渡損失の繰越控除の特例の適用を受ける場合には、確定申告が必要となる。

上場株式等を譲渡した場合の特例

上場株式等の譲渡については、2つの特例がある。1つは、譲渡損失の繰越控除の特例である。証券会社等を通じて上場株式等を譲渡し、譲渡損失が発生した場合には、翌年以後3年間はその損失を繰り越すことができ、その期間に発生した株式等の譲渡所得と相殺することができる(来年以降は配当所得との相殺も可能)。この特例の適用を受けるためには、確定申告書の提出及び譲渡損失に関する明細書の添付が必要となる。

もう1つは、取得費の特例である。平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等を譲渡した場合、譲渡所得の計算におけるその株式の取得価額は、平成13年10月1日における価格の80%相当額とすることができる。

税務ニュース№100


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