個人保証問題と自宅を守る術(最新情報)

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


第二会社方式で会社の再生を図っても残る課題

会社分割や事業譲渡で会社をグッドとバッドに分ける「第二会社方式」で事業を残すことができても、社長が連帯保証をしている場合や自宅を物的保証に入れている場合は、何もしなければ会社の借金が社長に請求され、自宅を銀行などに召し上げられてしまいます。

そこで、中小企業の経営者保証に関する契約時や履行時等における中小企業、経営者及び金融機関による対応についての中小企業団体・金融機関団体共通の自主的ルールとして、「経営者保証に関するガイドライン」が策定されました。

現金99万円だけ?

よく個人が自己破産する場合、「現金99万円」だけは手元に残せるということ をご存じの方も多いかもしれません。

しかし、経営者保証ガイドラインを利用した場合には、現金99万円などの自由財産に加えて、「経営者の安定した事業継続等のため、一定期間の生計費に相当する額や華美でない自宅等についても残存資産とすることが可能」となることがあります。

自宅を守る術など最新情報

(経営者保証ガイドラインQ&A)
Q7-14
対象債権者は、「回収見込額の増加額」を上限として、経営者の安定した事業継続、事業清算後の新たな事業の開始等(以下「事業継続等」という。)のため、一定期間の生計費に相当する額や華美でない自宅等を保証人の手元に残すことのできる残存資産に含めることを検討することとなりますが、具体的にはどのような資産が検討の対象となり、どのような判断により残存資産に含めることを確定するのでしょうか。

A:回答
破産手続における自由財産(破産法34条第3項及び第4項その他法令により破産財団に属しないとされる財産)は残存資産に含まれます。
経営者たる保証人が、自由財産に加えて、安定した事業継続等のため、一定期間の生計費に相当する現預金や華美でない自宅等を残存資産に含めることを申し出た場合、対象債権者は、準則型私的整理手続における利害関係のない中立かつ公正な第三者の意見も踏まえつつ、当該申出の応否や保証人の手元に残す残存資産の範囲について検討することとします。
なお、残存資産の範囲の検討においては、以下のような目安を勘案することとします。

(当事者の合意に基づき、個別の事情を勘案し、「回収見込額の増加額」を上限として、以下のような目安を超える資産を残存資産とすることも差し支えありません。)

<一定期間の生計費に相当する現預金>
「一定期間」については、以下の雇用保険の給付期間の考え方等を参考にします。

参考:雇用保険の給付期間
保証人の年齢 給付期間
30歳未満 90日~180日
30歳以上35歳未満 90日~240日
35歳以上45歳未満 90日~270日
45歳以上60歳未満 90日~330日
60歳以上65歳未満 90日~240日

「生計費」については、1月当たりの「標準的な世帯の必要生計費」として、民事執行法施行令で定める額(33万円)を参考にします。
なお、「華美でない自宅」を残すことにより保証人に住居費が発生しない場合は、一般的な住居費相当額を「生計費」から控除する調整も考えられます。

上記のような考え方を目安としつつ、保証人の経営資質、信頼性、窮境に陥った原因における帰責性等を勘案し、個別案件毎に増減を検討することとします。

<華美でない自宅>
一定期間の生計費に相当する現預金に加え、残存資産の範囲を検討する場合、自宅が店舗を兼ねており資産の分離が困難な場合その他の場合で安定した事業継続等のために必要となる「華美でない自宅」については、回収見込額の増加額を上限として残存資産に含めることも考えられます。
上記に該当しない場合でも、保証人の申出を踏まえつつ、保証人が、当分の間住み続けられるよう、「華美でない自宅」を、処分・換価する代わりに、当該資産の「公正な価額」に相当する額から担保権者やその他優先権を有する債権者に対する優先弁済額を控除した金額の分割弁済を行うことも考えられます。
なお、弁済条件については、保証人の収入等を勘案しつつ、保証人の生活の経済的再建に支障を来すことのないよう定めることとします。

<主たる債務者の実質的な事業継続に最低限必要な資産>
主たる債務者の債務整理が再生型手続の場合で、本社、工場等、主たる債務者が実質的に事業を継続する上で最低限必要な資産が保証人の所有資産である場合は、原則として保証人が主たる債務者である法人に対して当該資産を譲渡し、当該法人の資産とすることにより、保証債務の返済原資から除外します。
なお、保証人が当該法人から譲渡の対価を得る場合には、原則として当該対価を保証債務の返済原資とした上で、保証人の申出等を踏まえつつ、残存資産の範囲を検討します。

<その他の資産>
一定期間の生計費に相当する現預金に加え、残存資産の範囲を検討する場合において、生命保険等の解約返戻金、敷金、保証金、電話加入権、自家用車その他の資産については、破産手続における自由財産の考え方や、その他の個別事情を考慮して、「回収見込額の増加額」を上限として残存資産の範囲を判断します。

Q7-16
「回収見込額の増加額」とは、具体的にはどのように算出するのでしょうか。

A:回答
主たる債務者が再生型手続の場合、合理的に見積もりが可能な場合には、
(1)から(2)を控除して算出します。
(1)主たる債務の弁済計画(案)に基づく回収見込額
(2)現時点において主たる債務者が破産手続を行った場合の回収見込額

※ 保証人の資産の売却額が、現時点において保証人が破産手続を行った場合の保証人の資産の売却額に比べ、増加すると合理的に考えられる場合は、当該増加分の価額も加えて算出することができます。

なお、主たる債務者が第二会社方式により再生を図る場合、合理的に見積もりが可能な場合には、(1)から(2)を控除して算出します。

(1)会社分割(事業譲渡を含む)後の承継会社からの回収見込額及び清算会社からの回収見込額の合計金額
(2)現時点において主たる債務者が破産手続を行った場合の回収見込額

※ 保証人の資産の売却額が、現時点において保証人が破産手続を行った場合の保証人の資産の売却額に比べ、増加すると合理的に考えられる場合は、当該増加分の価額も加えて算出することができます。

主たる債務者が清算型手続の場合、合理的に見積もりが可能な場合には、
(1)から(2)を控除して算出します。
(1)現時点において清算した場合における主たる債務及び保証債務の回収見込額の合計金額
(2)過去の営業成績等を参考としつつ、清算手続が遅延した場合の将来時点
(将来見通しが合理的に推計できる期間として最大3年程度を想定)における主たる債務及び保証債務の回収見込額の合計金額

※ 準則型私的整理手続を行うことにより、主たる債務者又は保証人の資産の売却額が、破産手続を行った場合の資産の売却額に比べ、増加すると合理的に考えられる場合は、当該増加分の価額も加えて算出することができます。

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この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№870


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