弔慰金の非課税枠を活用

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2013.03.25


退職金の取り扱い

社長などが在職中に死亡した場合など、永年の功労に対し退職金や弔慰金を支給することがあります。

税務上、退職金と弔慰金はどのように取り扱われるのか考えてみましょう。

被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職金、功労金その他これらに準ずる給与(=退職手当金等といいます)を遺族が受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の対象となります。

ただし、相続人が受け取った退職手当金等はその全額が相続税の対象となるわけではなく、非課税限度額が設けられています。

500万円×法定相続人の数=非課税限度額

この非課税限度額を超える部分が課税対象となります。

例えば、退職金が5,000万円で法定相続人が4人の場合。
非課税限度額は 500万円×4人=2,000万円で、課税対象は 5,000万円-2,000万円=3,000万円となります。

また、この退職手当金等とは別に「弔慰金」を支給することもあります。

弔慰金の非課税枠

被相続人の死亡によって受ける弔慰金や花輪代、葬祭料などについては、見舞金という性格に照らし、通常は相続税の対象になることはありません。
社会通念上妥当な金額については非課税です。

しかしながら、被相続人の雇用主などから弔慰金の名目で受け取った金銭であったとしても、、実質上退職手当金等に該当すると認められる部分は相続税の対象になります。

退職手当金等と認められる部分を除き、次に掲げる金額が弔慰金等の非課税限度額となります。

(1)被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき
被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額

(2)被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき
被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額

※普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務手当などの合計額をいいます。

この弔慰金の非課税限度額を超える部分は、退職手当金等として取り扱います。

では、先ほどの退職金5,000万円を退職金4,000万円と弔慰金1,000万円に分けてもらう場合で比較してみましょう。

被相続人の役員給与が月150万円で死亡原因が非業務とした場合。

弔慰金の非課税限度額は 150万円×6か月=900万円で、退職金は 4,000万円+(1,000万円-900万円」)=4,100万円となります。

法定相続人が4人の場合の退職金の非課税限度額が2,000万円ですので、4,100万円-2,000万円=2,100万円が課税対象となります。

5,000万円を退職金でもらう場合の課税対象は3,000万円で、退職金と弔慰金に分けてもらう場合の課税対象は2,100万円となり、課税対象が900万円減少します。

形式を整える

退職金を支給するにしろ、弔慰金を支給するにしろ対外的な形式を整えることが重要です。

過大退職金は否認されますので、適正額算出の根拠となる「退職給与規程」や「弔慰金支給規程」を作成されることをお勧めします。後の税務調査の際には必ず確認されると思っておいてください。

また中小企業の場合、いくら形式を整えたとしても支給財源がないときは、どうすることもできません。これまでの功績に相当する妥当な退職金をもらうことができるよう、保険を活用するなども一案です。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№328


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