残された時間が少ない場合の相続対策

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2014.09.01


平成27年から始まる相続税増税

最近、新聞等でもさかんに報道されていますが、いよいよ来年から相続税の増税が始まります。一番影響が大きいのは、基礎控除額の縮小です。

これまでは、「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」だったのが、「3,000万円+600万円×法定相続人数」とこれまでの6割に縮小されます。
これを機に巷ではいろいろな相続対策が紹介されるようになりました。(アパート建設、小規模宅地等の特例、タワーマンション節税などなど)

最もオーソドックスなのは、毎年110万円の非課税枠をつかった生前贈与です。毎年110万円を10年かけて3人に贈与すれば、110万円×10年×3人=3,300万円となり、それだけで3,300万円の財産を無税で移転することが可能です。(相続開始前3年以内の贈与は、相続財産に足し戻しとなります)

相続財産から一瞬で切り離す方法

ただし、生前贈与は無税で移そうと思うと、どうしても時間がかかってしまいます。中にはそんなに待てない、時間がないといった場合もあります。

そういうケースでは、ある程度まとまった金額を、贈与した瞬間に完全に相続財産から切り離せて、なおかつ贈与税がかからない、そんな方法が有効です。

実は、この条件に合う対策が2つあります。
1つは「住宅取得等資金の贈与」、もう1つは「教育資金の一括贈与」です。

「住宅取得等資金の贈与」は、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた子供や孫が、その資金を使って自宅の新築や増改築等を行った場合に、一定の要件を満たせば、贈与税が非課税となる制度です。
非課税限度額は、省エネ等住宅の場合は1,000万円、それ以外の住宅の場合は500万円となっています。

これを使えば、最大で1,000万円の現金を無税で贈与することができます。しかも相続財産への足し戻しはありません。
(ちなみに、この制度は平成26年末で期限切れとなる予定ですが、期限延長及び非課税限度増額の税制改正要望が出されるようです。今後の動向に注意して下さい。)

「教育資金の一括贈与」は、30歳未満の子供や孫が、祖父母などから教育資金に充てるために行われた一定の贈与については、1,500万円まで贈与税が非課税となる制度です。
一般的には、教育贈与信託といった信託商品が利用され、贈与資金は教育資金のみに利用する必要があります。1,500万円のうち500万円までは学校等以外(ピアノ、そろばん、水泳など)に支払うことが認められています。

教育資金以外に使った場合や、30歳到達時点で贈与資金が余っている場合には、贈与税が課税されます。こちらも相続財産への足し戻しはありません。

高齢で病気持ちでも入れる保険

もう1つ、贈与ではありませんが、すぐに効果を発揮する方法として、生命保険金の非課税枠を活用する方法があります。生命保険金については、「500万円×法定相続人数」までの非課税枠があります。

まだこの非課税枠が残っていて、その残額に相当する現金がある場合には、その現金で生命保険に加入すれば、その分相続税の課税財産を減らすことができます。
保険に加入した瞬間に、その現金は非課税財産となりますので、相続財産からは切り離されます。

なお、高齢になると保険に入れないのではないか、と思われる方もいらっしゃると思いますが、無選択型の一時払終身保険なら医師の診査不要で、最大95歳まで加入できる商品があります(支払保険料=保険金となり、原則ご自分で署名する必要があります)。商品は銀行窓口等で一般的に販売されています。生命保険金の非課税枠を活用されていない方はご検討下さい。

(本日ご紹介した税制については、詳細な要件は割愛しています。気になる方は、個別にご相談下さい。E-Meil:info@money-c.com

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№401


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