今、注目の『タワーマンション節税』とは?
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
タワーマンション節税のからくり
「タワーマンション節税」というのをご存知でしょうか?
簡単に言うと、タワーマンションの1室を購入することで、相続税が節税になるという手法です。これは、相続税における不動産の評価方法と時価の乖離に目を付けた節税方法です。
では、どういうからくりになっているのでしょうか。
相続財産を評価する際、土地は路線価で、建物は固定資産税評価額で評価します。
路線価は時価の約80%、固定資産税評価額は時価の約40~60%が目安となります。
そのため、現金で土地を購入すると評価は約80%に、建物を購入すると約40~60%に下がります。ここまでは普通の一戸建ての不動産でも通用する話です。
これがマンションになると、土地はそのマンションの戸数で按分することになります(敷地権)ので、購入価格に占める土地の割合は一戸建てよりも少なくなり、建物の占める割合が多くなります。すると、建物の方が評価減の割合は大きいため、一戸建てよりも評価額を圧縮することができるのです。
タワーマンションの場合は、通常のマンションよりも戸数が多いため、購入価格に占める土地の割合はさらに少なくなり、評価減の割合が大きくなる、というわけです。
北向き1Fの物件と南向き40Fの物件、評価額の違いは?
実は、タワーマンション節税には、もう1つからくりがあります。
例えば、タワーマンションの1室を実際に購入する場合、床面積が同じだとすると、北向きの1Fの部屋と南向きの40Fの部屋では価格は同じでしょうか。
答えは、もちろん南向きの40Fの部屋の方が高いはずです。
一般的には、1F違うと約1%、北向きと南向きでは約10%程度の価格差がある、と言われますので、北向き1Fと南向き40Fでは約50%の価格差があることになります。
しかし、相続財産を評価する場合には、こういった違いは評価には反映されません。
床面積が同じであれば、評価額は同じです。そのため、高層階の物件ほど、評価額を大きく圧縮することができるのです。
最終的には、20~30%に評価額を圧縮することも可
さらに、このタワーマンションの物件を賃貸した場合、建物部分は貸家となるため、30%の評価減、土地部分は貸家建付地となるため、およそ20%の評価減(借地権割合により異なる)となります。
とどめは、「小規模宅地等の特例」です。被相続人が所有していた土地で、一定の要件に該当するものは、上記の評価額からさらに評価を圧縮することができます。
貸付事業用宅地等の場合は、200㎡まで50%の評価減を行うことができます。
例えば、1.5億円でタワーマンションの高層階の1室を購入し、賃貸した場合、評価額の例は、以下のようになります(架空の例です)。
購入価格 1.5億円(土地部分3,000万円、建物部分1.2億円)
賃貸前の評価額 6,000万円(土地部分2,400万円、建物部分3,600万円)
賃貸後の評価額 4,440万円(土地部分1,920万円、建物2,520万円)
小規模宅地特例後 3,480万円(土地部分960万円、建物2,520万円)
この例で言うと、最終的には1.5億円-3,480万円≒1.15億円の評価額圧縮となります。
つまり、1.5億円の現金が3,480万円のタワーマンションに変わったことになります。
税率を50%とすると、約5,800万円の節税になります。
タワーマンション節税のリスク
ただし、このタワーマンション節税にも、もちろんリスクはあります。
タワーマンションは現時点では値下がりしにくいと言われており、資産価値をある程度維持できることが上記のタワーマンション節税の前提になっていますが、今後供給過剰で値崩れが起きた場合には、その前提が崩れることになります。そうなると、買い手が付かず、投資資金も固定化して回収できないというリスクが生じます。
また、賃貸する場合には、賃料下落で利回りが下がる、借り手が見つからないなどのリスクもあります。
そもそも購入金額が多額になるため、実行できるのはある程度の財産をお持ちの方に限られます。相続税は累進課税になっていますので、相続財産が多いほど税率も高くなり、税率が高いほど節税効果も大きくなります。そのため、相続財産がそれほど多くない場合には節税効果が少なくなり、リスクに見合わないことになるかもしれません。
このようなリスクもありますが、相続対策として具体的にタワーマンションを紹介してほしいという方がおられましたら、ご連絡下さい。
E-Mail:info@money-c.com
この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№407
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