住宅取得等資金に係る贈与税非課税枠の拡大

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2010.01.25


さて今回は、平成22年度税制改正大綱より「住宅取得等資金に係る贈与税非課税枠の拡大」についてお送りします。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

平成21年4月10日に追加経済対策として「住宅取得のための時限的な贈与税の軽減」措置が講じられました。これは、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から居住用家屋の取得に充てるために金銭の贈与を受けた場合には、500万円まで贈与税を課さないというものです。

暦年課税又は相続時精算課税の従来の非課税枠に合わせて適用でき、次の金額の金銭贈与であれば贈与税がかかりません。

・暦年課税の場合
「基礎控除110万円+500万円=610万円」

・相続時精算課税の場合(住宅枠は平成22年以後廃止)
「一般枠2,500万円+住宅枠1,000万円+500万円=4,000万円」

ただし、相続時精算課税制度の3,500万円部分については、相続時に持ち戻しの対象となります。

平成22年度税制改正大綱で非課税枠が拡大

昨年12月に平成22年度税制改正大綱が発表されました。厳しい経済情勢のもと、住宅着工戸数が低水準で推移する状況を踏まえ、高年齢者の保有する眠れる金融資産を活用し、若年世代等の住宅取得を支援するため、住宅取得等資金に係る贈与税非課税枠について次の措置が講じらました。

・直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税枠(現行500万円)を平成22年中の贈与は1,500万円、平成23年中の贈与は1,000万円に拡大

ただし、適用対象となる者を贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限定する。なお、平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者については、改正前の制度(こちらは所得制限なし)との選択制となっている。

・住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除の上乗せ(住宅枠のことで現行1,000万円)を廃止し、65歳未満の親からの贈与も対象とする措置を平成23年12月31日まで2年延長する。

まとめると、住宅取得のための資金であれば以下の金額まで無税で贈与ができるようになります。

・暦年贈与の場合
平成22年中は(基礎控除110万円+1,500万円=1,610万円)
平成23年中は(基礎控除110万円+1,000万円=1,110万円)

・相続時精算課税制度の場合
平成22年中は(一般枠2,500万円+非課税枠1,500万円=4,000万円)
平成23年中は(一般枠2,500万円+非課税枠1,000万円=3,500万円)

ただし、相続時精算課税制度の2,500万円部分については、相続時に持ち戻しの対象となります。

非課税制度を受けるための手続き

非課税制度の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税制度の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に次の書類を添付し、受贈者の納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。

≪添付書類≫
計算明細書、戸籍の謄本、住民票の写し、登記事項証明書、新築や取得の契約書など

贈与を受けた住宅取得等資金の金額が500万円以下の場合であっても提出が必要となります。

また、住宅取得等資金の贈与者である父母や祖父母が亡くなった場合、贈与者に係る相続税を計算する際に、非課税制度の適用を受けた住宅取得等資金は相続税の課税価格に加算する必要はありません。

※平成22年度税制改正大綱については、国会を通過するまでは正式決定ではないのでご留意ください。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№166


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