マンションの新相続税評価(仮)、徹底解説!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2023.07.24


タワマン評価は現状、時価の2~3割

去年の年末あたりから話題になっていた「タワマン節税規制」について、どうやら結論が出そうです。

相続税における不動産の評価は、建物は固定資産税評価額で、土地は路線価をベースに行われるのが基本です。

建物の固定資産税評価額はおおよそ時価の50~70%、路線価についてはおおよそ時価の80%を目安に設定されています。

高額なタワーマンションの場合、土地が含まれる割合が少ないことなどもあり、おおまかには時価の2~3割の評価額になります。

この仕組みを利用して行われるのが、いわゆる「タワマン節税」です。

改正内容固まる、時価の6割に補正の方向

政府はこの問題について、有識者会議を開催し、改正の方向性を検討していましたが、令和5年6月22日に行われた会議でその内容が固まりました。

簡単にまとめると、一戸建ての物件とのバランスも考慮して、相続税評価額が市場価格理論値の60%未満となっているものについて、市場価格理論値の60%になるよう評価額を補正する、というのが結論です。

従って、評価水準60%~100%のものは補正せず、現行評価のままとなるようです。

以下、現時点で公表されている情報をまとめます。

【対象】
区分所有に係る財産の各部分(建物部分及び敷地利用権部分)
※ただし、構造上、居住の用途に供することができるものに限る。
※ただし、以下を除く。
・総階数2階以下の物件
・区分所有されている居住用部分が3以下であって、かつ、その全てが親族の居住用である物件(いわゆる二世帯住宅等)

【新評価額(予定)】
現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離率
×最低評価水準0.6(定数)
※評価乖離率が0.6分の1以下(約1.67以下)となるマンション一室は現行の相続税評価額×1.0とする。
※評価乖離率が1.0未満となるマンション一室の評価額は次による。
現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離率
※不動産鑑定評価書等に照らし評価額が通常の取引価額を上回ると認められる場合には、当該価額により評価する。

理論上の市場価格の求め方

市場価格理論値は、相続税評価額に評価乖離率を掛けて計算するようになっています。

そして、評価乖離率は以下で計算されます。
(専門的な内容ですので、読み飛ばして頂いて構いません)

評価乖離率=a×△0.033+b×0.239+c×0.018+d×△1.195+3.220
a=当該マンション一室に係る建物の築年数
b=当該マンション一室に係る建物の「総階数指数」として、「総階数÷33」(1.0を超える場合は1.0)
c=当該マンション一室の所在階
d=当該マンション一室の「敷地持分狭小度」として、「当該マンション一室に係る敷地利用権の面積÷当該マンション一室に係る専有面積」により計算した値

新評価額の計算の流れ(予定)

1.以下の6要素を把握
・築年数
・総階数
・所在階
・敷地面積
・敷地権割合
・専有面積

2.算式に当てはめて評価乖離率を計算

3.相続税評価額に評価乖離率を掛けて、市場価格理論値を計算
市場価格理論値=現行の相続税評価額×評価乖離率

4.現行の相続税評価額と市場価格理論値を比較

現行の相続税評価額<市場価格理論値×60%なら、
→新評価額=市場価格理論値×0.6

現行の相続税評価額≧市場価格理論値×60%なら、
→現行の相続税評価額のまま

相続税評価額>市場価格理論値×100%なら、
→市場価格理論値で評価

ただし、上記の内容は最終決定ではありません。
財産評価基本通達の改正に向けて、今後パブリックコメントの手続が実施されます。

手続が問題なく終われば、最終的に通達が改正され、令和6年1月1日以後の相続等又は贈与により取得した財産に適用される予定です。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№857


Copyright all rights reserved By マネーコンシェルジュ税理士法人

その他の最新税務関連ニュース

大阪税理士コラムのカテゴリー一覧

税務情報を「メール通信」「FAX通信」「冊子」でお届け。

中小企業の経営者及び総務経理担当者・相続関係者向けに、「知って得する」「知らないと損する」税務情報を、メルマガ、FAX、冊子の3種類の媒体でお届け。
配信日時などの詳細は下記をクリックしてご確認下さい。
会計事務所の方はご遠慮頂いております。

  • メール通信 ご登録&ご案内
  • FAX通信 ご登録&ご案内
  • 冊子媒体 ご登録&ご案内

今なら初回面談無料!
お気軽にお問い合せください。

0120-516-264受付時間 9:00~17:30(土日祝休)

メールでのお問い合せ

ページトップ